IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

日本に世界の文化的中心都市を

□世界の中心都市は西へ移動する

まずこの話は中東から始まり、世界の中心都市が徐々に西へ西へ、と移動しているというフランスを代表する知識人、ジャック・アタリの説をベースにしている。事実、シュメルから始まり、世界の中心は西に移動し続けている。

 

アタリによれば、いまの世界の中心都市はサンフランシスコだが、既にサンフランシスコはITバブルにより地価が高騰し、中心としては既に崩壊の兆しがあると言っても良いだろう。

 

そしてそこより西になるとハワイはないとして、香港、上海、そして東京辺りがとりあえずの候補となる。

 

□東京は既に世界都市

ここでもう少し、日本に世界都市ができる可能性がある根拠をもう少し述べておく。

 

まずシンプルに都市圏の広さである。東京都単体では1000万人でも、周辺の県を合わせると東京都市圏は3000万人規模と言われる。これだけの規模の都市圏は世界でもほぼ類を見ないサイズである。経済の規模的にも世界最大級の都市圏と言える。

 

次にそれだけのサイズにも関わらず、行き届いたインフラに治安の良さと、都市としてそれなりに高水準に機能していることである。

 

大阪も(あるいは日本のどこか他のところになるかもしれないが)京都という街全体が世界遺産のようなものを含んだ関西圏、という意味では東京とは違う角度の魅力を持っているといえよう。

 

つまり、既にポテンシャルとして世界都市であるのは間違いがなく、世界の「中心」都市となるためには、何が足りていないか、という状態ではあるのだ。

 

なので、何が東京あるいは大阪に不足しているか、という視点で考えて行く。

その前に、まずはここでは中心とは何か、という点についてまとめておく。

 

□世界の「中心」都市とは何か

 

まずここで世界の中心都市としている意味は、「文化」に関するものである。

 

例えば、世界の政治の中心はワシントンD.C、北京、あるいはブリュッセルかもしれないが、世界を動かすインパクトのある文化を生み出しているのは、シリコンバレーとその近くにハリウッドを備えたサンフランシスコである。

 

文化の中心とは、もっといえば、時代の最先端をいくような新しいものを排出することである。イノベーションとクリエーションが最も起こる都市、と言っても過言ではない。

 

現在日本、特に東京や大阪はその真逆に位置しているが、ポテンシャルがあるにもかかわらず、その様なのは、その認識が不足し、世界中心都市として足りないものが当然あるからである。

 

□東京や大阪、あるいは日本に足りないもの

それはこれまでのジャック・アタリが話している世界中心都市を考えれば、容易にイメージが湧く。それは、ベニス→アムステルダム→ロンドン→ニューヨーク→サンフランシスコである。

 

まず容易にイメージがつくのが、誰もが憧れるようなチャンスと刺激に満ちた都市であることには間違いないだろう。

 

世界中から夢を見た人を惹きつけるあるいは、多くのクリエイターやアーティストが憧れるような都市である。

 

この点まず、日本は東京も大阪も含めて、排他的だ。

ようやく国としてインバウンドとか言い始めたが、元が鎖国体質なので、開国したつもりでも全く世界の水準に到達していない。

 

仮に将来は伸びるかもしれないクリエイターがお金もなく日本に来ても、入国できない、仕事もない、そんな状態になりかねない。少なくとも外国人の受け入れに関して積極的とはいえない。

 

つまり、文化および法制度的に外国人、特にクリエイターや起業家が集まりやすいようにする必要性は大いにある。

 

むしろ実は世界中心都市の条件は、ほぼその一択に尽きると言っても過言ではない。

なぜなら優秀なイノベイターやクリエイターが日本にいれば、当然お金も集まる。

日本をシリコンバレーの二の舞にするのは馬鹿げているが、お金は人が集まれば自然についてくるので、お金を集めることは世界都市の条件にはならない。

 

□最高のクリエイター、イノベーターが一人いれば良い

イノベイターやクリエイターと言っても、実は最初は一人いれば良い。

 

シリコンバレーでも、最初はイーロン・マスクがいて、そこに集まってペイパルマフィアが生まれたように、イノベーターやクリエイターが同じイノベータたちを惹きつけるからだ。

 

その意味では、世界都市にするための具体的なアクションとしては、一人のスーパーイノベーター、あるいはクリエイターを日本で生み出すか、世界から招聘することにある。

 

もっと言えば、イーロン・マスクが望む条件を全て飲んで、日本でビジネスをしてもらえないかお願いすることも良いと思われる。

 

□なぜ中国ではないのか

もう一つ日本に有利なのは、上海や香港あるいは深センもポテンシャルはあるが、まだ中国という国は閉じられていることに問題がある。

 

流石にいつ、何の理由もなく逮捕されるかわからないような国には、まともな人は寄り付かない。治安以前に、人権を守ることが実は結構重要なのだ。

 

その点、カルロス・ゴーン事件などを見ていると、日本の人権侵害も酷いものだが、全世界で人権侵害が起きている中で、比較的にマシとは言えるだろう。

 

コロナにおける騒動も、他のどの国よりも実は民主主義が機能しているのではないかと思うわれる節さえある。

 

□あくまで欧米人や中国人から見た文化の異質さが重要

また現在のアメリカのサンフランシスコ、あるいはニューヨークは既に流行を過ぎている、というのも理由に挙げられる。

 

どのような都市であっても、人間は飽きてしまう。

クリエイターやアーティストと呼ばれる人種は特にそうだろう。彼らは常に新しい刺激、コンテンツを求める。

 

そして欧米人のクリエイターやアーティスト、あるいはイノベーターにとって、既にヨーロッパもアメリカも使い古されたコンテンツに過ぎない。あるいは、何の目新しさも感じない。

 

それに比べて、言語も違えば宗教観も含めて意味不明な日本に来たほうが、よほど刺激的である。

 

将来的には上海や香港になるかもしれないが、総合的に見て安全でよくわからないものがたくさんある日本て面白そうだよね、というのが世界から見た日本で、実はそれに気づいてないのは日本人だけなのではないかと思うときがある。

 

こういう話をすると、日本はガラパゴスで成長性もないし、 DXもサービス業も何もかも時代遅れじゃないかと思われるかもしれない。

 

ハッキリ言ってそんなものをイノベーターたちは求めていない。

 

例えが悪いかもしれないが、日本人がアフリカに観光に行くときに、お洒落なレストランやウォシュレットがあることを期待して行くのか、という話である。

もちろん、高級ホテルにはどちらも備わっているだろうが、だいたいの人がアフリカに行く目的は、日本にはない広大な大自然などの方ではないだろうか。

 

それと同じことがいまの欧米人にも言える。既にサンフランシスコやニューヨークにあるものを求めてなど、彼らはいない。

 

またここで重要なのは、世界の中心が未だアングロ・サクソンであり、あるいは最もお金を持っているのは欧米人か中国人だとすると、彼らから見たときの異質性こそが最も重要なのである。

 

そう考えると、彼らから見て最も異質なのが日本という国ではないだろうか。

言語も違う、思想もよくわからず、どこにもない食べ物や建物がある、刺激を求める人々にこんなに魅力的な場所はない。

 

そして日本人だけがわかっていないかもしれないが、日本という国は明確にアングロ・サクソン文化圏にいまは属している。

 

考えて見て欲しい。流石に異文化と言っても敵対している文化圏には流石にクリエイターは集まれない。異質と言っても全く言語が通じない、商取引の慣行が違う、などはやはり難しい。

 

先ほどのジャック・アタリのフローでもわかるように、ある程度の文化的な親和性は必要なのである。

 

繰り返しになるがその点で中国はない(台湾もいまは立場的に難しいだろう)インドも商慣習という点では異質で、タイのバンコクはまだ世界都市と言っても、それは観光都市の域を出ない。

 

欧米人から見て日本人は異質だが、同じアングロ・サクソン文化圏の中に存在する異質さだから良いのである。

 

□もう一つの世界中心都市の要素

世界の中心都市としての特徴の一つは「文化」の中心であること、そしてもう一つはこれまでの流れから見ていただければお分かりのように、「商業」の中心でもあることだ。

 

先ほども説明したようにクリエイター、イノベーターが集まればお金は集まるだろう。あとはそれに付随して現れるビジネスパーソンが如何にビジネスをしやすい環境であるか、というのが重要である。

 

その点、今の日本、東京は独自ルールや規制が多すぎる。

都市以外の規制は産業保護などの観点も考慮するとして、都市に関しては国際水準に合わせていく必要がある。

 

それも、どちらかといえば、中国ではなく、はっきりと欧米のスタンダードに寄せていく必要があるといえる。

 

ただし、その中でも日本の独自性をいくつかの点で打ち出す必要はある。

例えば本当に日本にイノベーターやクリエイター、そして資金が集まれば、シリコンバレーのようになるであろう。

 

ここでシリコンバレーの二の舞を繰り返してはならない。

それは地価が上がりすぎて、元々住んでいた人が住めなくなって出ていった、とう現象である。

この現象の再発は二重の意味で良くない。

一つは、サステイナブルの時代の世界最先端都市が、率先してサステイナブルでないことは、全く持って「イケてない」からだ。イケてない街に最先端の人は寄り付かない。

 

同じ理由で、一度失敗している例があるのに、また同じパターンをするのもイケてない。

ある意味、格好いい街づくり、世界の中での都市作りのセンスが求められることになる。

 

□日本人は欧米人から見たらピカチュウみたいなもの

とはいえ、こんなにシンプルにちょっと開国すれば世界中から人が集まる魅力を持っているにもかかわらず、それに気がつかずに永遠と自虐ネタを繰り返す日本はコントと言ってもいいだろう。

 

そして欧米人はよくわからない日本として、ますます面白がっているように感じる。

 

オリンピック世界の水準からはるかに遠い開会式も、きっと東洋の神秘として思っていてくれていることだろう。実際は単なる既得権益の作り出した時代遅れのアウトプットだとしても、全然違う文化のことはなぜか肯定的に見えるときは見えるものだ。

 

日本人は簡単にものすごくよくなれるのに、日本人だけが謎にそれが無理だと思い込んで、籠の中でグルグルと回り続けるハムスターのような愛されキャラとして、欧米人に見られている気もする。要するに日本人は、欧米人にとってはもはやピカチュウそのものなのである。

 

一方で、特にアメリカ、カナダ、オーストラリアみたいな国はもはや民主主義と資本主義の末期のような状態で、トランプのような強力な破壊者が現れない限り、変わることができない状態である。

 

それに比べて日本は、ちょっと国民と政治家の意識が変われば、良いだけである。つまりある意味、日本人が良くなるのに、大きな変革を必要としない。

 

そしてそのもはや末期となった欧米の都市、そしてまだ世界都市にはなれない中国の都市、その間を埋めるのは日本しか存在し得ないと思うのは私だけであろうか。