IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

世の中を変えるには、富でも影響力でもない、本当に必要なものはなにか

多くの人が

・総理大臣になって権力があれば
・大金持ちになれば
・有名人になって影響力があれば
・あるいは天才であれば
・もっと甘い人は志さえあれば
世の中を良くできる、変えられると思っているのではないでしょうか。

まず残念ながら、歴史と現状を見る限りその全ては失敗に終わっています。

 

■富、目的がなければ無意味なもの

まず、富です。

例えば、一時期ホリエモンライブドア旋風を起こし国政に出ようとしましたが、敢えなく逮捕されました。
またロックフェラーやロスチャイルドといった噂の大富豪の面々も、結局自分たちの利権を守る方に流れるので、世の中を良くしようということに現実なっていません。
お金持ちになれば、世の中を良くできる、変えられるというのは残念ながら幻想と言えます。
きっと自分が高い家や服を買うということは実現できるでしょうが、世の中を変えるのはそれだけでは叶いません。

今の世界中の大富豪は誰1人として世の中から戦争一つ無くすことができていません。

 

■影響力、幻想の産物

次に影響力です。何回総理大臣が変わっても日本が良くなる様子はありません。
いい加減無駄だと気づいても良い頃でしょう。
政権交代も一度ありました。
そして松本人志のように、影響力のある人物であっても簡単にメディアによって葬られてしまいます。
マザーテレサは多くの人の心を打ち、多くの人を救ったかもしれませんが、世の中を変えるには至りませんでした。
一個人のなし得ることは偉大ですが、影響力だけでは限界があります。

 

■権力、単なる投資家の使いパシリ

アメリカの大統領であっても、日本の総理大臣であっても選挙にはお金がかかるそうです。

そのお金のために、投資家、お金を出してくれる人の言うことを聞かざるを得ません。

世界一の権力者、日本のリーダーなどというのは単なるハリボテです。

彼らはスポンサーの単なる使いパシリに成り下がります。

こうして政治権力が役立たずになっていきます。

 

■知性、天才を名乗るなら貧困の一つも無くして見せよ

次に知性を検討しましょう。
歴史上最大の知性が集まったのは、近現代で代表的なのはマンハッタン計画でしょう。
映画オッペンハイマーで観るように、アインシュタインファインマンノイマンといった最高の知性が集まってました。
しかし、彼らが作り出したのは原子爆弾であり、アインシュタインほどの知性をもっても、戦争を止めることはできませんでした。
その後、ハイエクが世界賢人会議よろしく、モンペルランソサエティを作りましたが、EUは未だ多くの問題を孕んだままでいます。
世界のエリートダボス会議も、今ではエリートたち自身の思い込みとは裏腹に、日々醜態と傲慢を晒すだけの集まりになっています。

自分は天才、エリートだと思い込んでいる人たちは、口ほどにもないほどに何も成し遂げていません。

 

■志、甘すぎて最早響かない空想の産物

そして最後の志です。
志だけで世界が良くなるなら、世界はとうの昔に戦争のない世界になっているでしょう。

 

そしてこれらの現実は今の若い人々は皆気づいていることだと思います。

自分が総理になれば世の中を変えられる、そのような大人の戯言にうんざりしているのが、いまの若い世代なのではないでしょうか。

いまの若い人が支持できる、本当に世の中を変える手段、それはワールドトリガーよろしくの戦略と戦術、そして運になります

また、運というのは更に具体的にすることができます。それはタイミングです。

天の時を見計らうことになります。

ワールドトリガーはまさに今の若者の現実感を代弁しているセリフであり、今後このような発言をする人も現れ始めると思います。

戦略と戦術、運、つまりタイミングを図って世の中を大きく変えることを実現した人物は歴史的には何人かいます。

 

その代表例の1人がキングダムで有名な秦の始皇帝になった政です。

政は中華統一という目標実現のために、戦略と戦術を立てて中華を統一しました。
そして時代が僅かにズレていれば、秦はそれを成し遂げられなかった可能性があります。  

政はキングダムで見ればわかるように、楚王と比べて最初から権力を持っていたわけではありません。また経済は呂不韋に劣り、武力は蒙武に及ぶべくもなく、知性は韓非子に及ばないでしょう。

しかし政だけが、中華統一に対して具体的な目標と戦略と戦術がありました。

富も知性も権力も、目標と戦略と戦術に紐づいていました。というよりも、本来目標や戦略と結びつかないと、意味がないのです。

多くの人が、目標も戦略もなく、たた喚くから運動になって終わっていくのです。

また、お金があれば、権力があればと考えているうちに人生が終わるか、お金や権力を手にした瞬間、これまで批判していた体制側と同じことをするようになっていくのも何度となく歴史では繰り返されています。

 

ですから、我々が世直しを言う人間を見るときは、目標があるのか、それに対して戦略や戦術があるのかで評価すべきであり、同じように我々が世直しを言うのであれば、常に戦略や戦術があることを理解してもらう必要があるのです。

 

多くの世直しを口にする野党や芸人が思いばかりを口にしますが、それは時代に合っていません。

具体的になぜ自分が総理になれば、何がいまの権力者と異なり、それをどう実現できるのか、その説明ができない人間はことごとく、ここ半世紀の間繰り返してきた同じ失敗しかしないでしょう。

 

そして最も重要なのが目標、つまり大義です。

完全な戦略や戦術も、それが目指すところが人の不幸や自己中心であるなら、それは人類にとって災いになります。戦略と戦術に大義が加わる必要があります。

そしてある意味、いまの時代、大義はわかりやすいところにあります。

それは人々のための政治、市民のための政治です。

秦の始皇帝のような中華統一のようなものとは違う、誰でも思い描き実現できる可能性を持ったものです。

誰もがその大義のためにできることがあり、その大義を実現したら影響を受けます。

誰でも簡単に持てる大義であり、戦略や戦術も少し考えれば良いし、思いつかない人はキングダムの信のようにそれを考えられる人と共にいれば良いだけです。

ですから世の中に少しでも疑問を感じ、世の中を良くしたいと思う人は、まず身近なところにある大義に目を向けてください。そしてその大義を実現できる戦略と戦術を考えるところから始めることです。

それは、富でも権力でも知性でもなく、誰でもなし得ることです。

そしてその想いが真に迫る時、政のように後からそれらのものは必要なだけ、ついてくるのではないでしょうか。