●日本の問題の核心は世界の問題の核心
日本の問題解決方法は、民主主義国家であれば、他の国でも似たようなアプローチをとることが可能です。
(中国のような民主主義国家でない国の政治と経済の癒着はより根が深く、まずは民主主義国家にしていくか、別のアプローチが必要になるでしょう)
民主主義の制度上では、実際は最も数も多く、強いのは市民です。
機能すれば、構造的に政府、企業という構造体の癒着を解く役割を担うことができます。
(反対に民主主義を失うことが最も大きなリスクであることもわかると思います)
まず日本が変わり、日本がなぜ変わったのか、うまくいっているのか、世界が学ぶようになれば、日本から世界が変わっていくことになります。
日本の地方から、国を変え、それが世界を本質的に変える可能性があるのです。
●日本の文化
この構造的な解決先に関して、実は日本は文化的にその土壌、土台が他の国に比べて相性が良いです。
それは、皇統、つまり天皇陛下がいることで、権威と権力が分離している土壌があるからです。そしてその歴史が他のどの民主主義国家よりも長いです。
権威とは文化的な要素があります。
そして政治活動、経済活動とは異なる要素もまた文化です。
市民の視点とは、文化の視点というもう一つの側面も兼ね備えています。
なぜ日本は権威と権力が分かれているのでしょうか。
もちろん、為政者の都合など時代によってあったかもしれません。
ですが、直感的にそれを分けることが、社会にとって良いことに気づいていた人もいたように思います。
権威と権力が分かれているため、そもそも日本は他よりも三つの視点を切り分けることに馴染みやすい、という意味です。
●いま、すべきことは何か?
構造を理解し、世界を三つの視点に分けることで、世界の問題の本質の多くを理解することができます。同時に、何をすれば良いかの指針も容易に得ることができます。
例えばマスメディアが、市民のためのメディアでない理由も明確になります。
逆に言えば、市民目線のメディアを作れば良いわけです。
より具体的には例えば、非公開企業で、月々1000円くらいのサブスクモデルでメディアを作れば、市民寄りのメディアになります。
(あとは起業家が過剰な利益を望まないことも重要ですが)
それをグローバルな規模でやっているのがイーロンマスクのX(旧Twitter)とも言えます。
マスメディアを市民寄りにするのではなく、そもそもメディアが企業寄り、政府寄り、市民寄りの三種類が存在し、市民寄りのメディアが存在しないことが、問題の本質であるということです。
ですから、企業、政治、市民の三つに分けて考える。
この着想がほぼ全てであり、このシンプルな発想こそが、世界が探していた答えであると言っても過言ではないのです。
例えば、これは多くの分野の企業のサービスにも当てはめることができます。
例えば、金融の世界も証券会社や保険会社は商品を買わせたいので、常にポジショントークになり、顧客目線の営業は構造的に難しいです。
これもメディア同様、資本構造と収益構造を変える、つまり構造的な問題を理解し、対処することで、問題を解決することが可能です。
構造の問題の理解、三つの視点の着想があれば、世界を良くするために何をするのが良いか、自ずとどの分野でも明らかになってきます。
政府が悪い、企業が悪い、とただ言うのは、構造的な問題に情緒的な感想を述べているだけなので、無為と言えます。
また、企業に営利を追うなと言うのも、政治家に政治をやるなと言うのと同じで、それも無意味なことです。
必要なのは構造の理解と、それを元にした具体的な行動です。
問題の本質と構造が見えてくれば、解決策は自ずと見えてきます。
あとは、個人の才覚と役割分担の問題です。
●一人一人は何をすれば良いのか
最大のポイントは「日本と世界はいま構造の問題の中にいる」という前提を認識することです。
次に行動に関しては、基本は地方政治に参加していくことだと思います。
票を投じる、議員に要望を伝える、あるいは自身で立候補することなどです。
次に、構造の問題が分かれば、自身の興味のある分野、得意な分野で行動を起こしていくことがありえます。
例えば、先ほど挙げたマスコミや金融業界の分野に、キャリアと問題意識があるのであれば、その分野の構造を変える起業をすることもできると思います。
農業や医療、健康に関心があるならそうした分野になります。
大事なことは、自分の才知や問題意識が一致する分野で行動を起こすことだと思います。
●政治家になることだけが答えではない
よく芸能人が政治家に転じることがありますが、長年政治家をやっていた人が突然芸能人になることはまずないです。
芸歴を積むのには時間が必要であり、おそらく長年違う仕事をやってきた人が、突然芸人になりたいと言ったら、大ひんしゅくだと思われます。
ですが、長年芸能人をやってきて、突然政治家になりたいと言い出す人が後を立ちません。
政治家も、政治家のキャリアとしてのスタートは遅くても良いですが、社会的な責任が大きい分、より蓄積が必要な分野です。
政治家になる前にどのような問題意識を持って生きていたのかは、重要だと思います。
おそらく、急に政治家になるような人は、政治家にならないと問題を変えられないのでは、思うような人が多いのではないでしょうか。
そうではなく、いまいる業界の中で何ができるのか、芸能人という立場だからできることはないか、今いる業界を構造改革できないか、を考える方が先ではないでしょうか。
また、政治家は仮に当選したとしても、一回生では日本のこともよくわかっていない、企業で言えば新卒社員のようなものなので、大きなことをすることは難しいです。
政治家にならないと問題が解決できない、あるいは優れたリーダーが出ないと日本は変わらない、というよくある思い込みも、日本の問題の多くが構造の問題である、ということを認識できていないことに由来すると思われます。
意気込んで理想を掲げ、政治家に仮になれたとしても、構造の問題を理解していないと、結局批判していたはずの政府と同じこと、あるいはそれ以下のことをやることになります。それを証明したのが民主党政権といえます。
企業で例えるとわかりやすいですが、新卒社員とベテラン社員でどちらが仕事ができるのか、という話になり、新卒はベテランに比べて、経験不足で仕事ができない、ということが起きたのです。
民主党政権時代、国民の期待ほどの改革ができなかったのは、要するに日本の問題の本質は構造の問題である、ということの証拠のようなものです。
(アメリカであれば共和党でも民主党でも大差ないとう話にも繋がります)
総理が変われば、政治家が変われば、政党が変われば、という問題ではないことにそろそろ気が付く時ではないでしょうか。
●結びとして
一人一人がやること、それはまずは構造の問題を理解すること、そして自分の才能や役割を理解し、その中でできることをやることです。
そして、政治家に期待するのであれば、構造に対して、具体的な対策を提案する政治家を選ぶこと、支援することだと思います。
構造改革という言葉は飛び交いますが、何の構造をどう変えるのか、そしてそれが実行可能かを見る必要があります。
「一人一人が目覚める、覚醒する」そのような言葉も飛び交ってはいますが、もっとシンプルで構造を理解するということなのです。
世界が探し求めている問題の本質、そしてその答えも実にシンプルなものであり、我々が意識を向けるべきは「次の民主主義」を難しく考えることではなく、「民主主義の見直し」を少しずつ始めていくことではないでしょうか。
そして世界を良くするには、一人一人のリテラシー、マインドセットがほぼ全てです。一人一人が利己的であり、その意見が民主主義に反映されたら、大変酷い社会になるでしょう。
いま多くの出来事で、一人一人が考えること、そして利己的だけではなく、正しいマインドセットが求められる時代となってきました。
一人一人が変われば、この世界は本当に美しいものにすることができる、それを一つの願いと信念として、結びといたしたいと思います。