IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

日本と世界の問題の核心について(後編①)

今回は世界の問題の核心に迫っていきます。

 

グローバル化した国際社会においては、世界、特に覇権国であるアメリカ、大国である中国の影響を強く受けることになります。

 

つまり、国同士が相互に影響を持つので、日本のことだけを考えて日本を良くすることがそもそも難しく、世界の問題と日本の問題を結びつけて考える必要があります。

 

そして世界のあらゆる問題の本質は、構造の問題だと気づくことです。

 

早速、世界の問題の核心と、その解決策をセットでお話ししようと思います。

まず、世界の問題の核心は「企業と政治の癒着」であり

その世界の問題の解決策は「その癒着を解くこと」であります。

 

いきなり構造の問題、企業と政治の癒着と言われても、なかなかピンとこないと思われるので、ケースで追っていきます。

 

●企業と政治の癒着

企業と政治の癒着が起きると、どのようなことが起きるでしょうか。

 

一つは軍事行動と企業の営利行為が結びついてしまうことです。

これが様々な災厄を引き起こします。

 

例えば、エネルギー資源が欲しい企業が、政府に働きかけて、他国に軍隊を送って侵略する、そのようなことが可能です。

政府、政治家の見返りはそこで得た利益を献金などで得ることです。

 

あるいは他の国を占領した時に、その国の産業を自国の企業に優位な仕組みにすることも可能です。

 

もっと極端なケースは、武器を売る企業が強くなり、政府に働きかけ、武器を売るために戦争を起こすことも可能です。

また、金融系企業は事前にその動きを知っていれば、相場の変化で利益を上げることも可能になります。

(企業と政治の癒着は、金融資本と政府の癒着という言い方ももちろんできます)

 

他にも、企業がやりたいことを政府にやらせることができると、色々なことができます。

例えば、必要のない薬を税収で買い上げ国民に配ることや、国民のデータを使って事業をすることもできます。

 

基本的に20世紀あるいは現代社会で起きていることの問題の大半は、この「企業と政治の癒着」という視点だけでほとんど説明できます。

 

ここで敢えて具体的な例を挙げるのは避けていますが、その理由の一つは構造的な問題であるからです。

 

構造の問題なので、国が変わっても、企業が変わっても、あるいは人が変わっても、同じことが生じます。

ですから、固有名詞を挙げ、そこを攻撃することに意味はありません。

真に必要なことは構造の方に目を向けることです。

 

●なぜ企業と政治は癒着するのか

ここで重要なのは企業と政治の癒着が、偶然でも個人の気分的なものでもなく、構造的な必然であることに気が付くことです。

 

政治、選挙にはお金が必要です。

企業は、政治家に便益を図ってもらうことに魅力を感じます。

 

組織同士が相互に結びつくことに強いインセンティブがあります。

 

なぜ、総理を変え、大統領が変わり、官僚のトップが変わっても国民が臨むような変化が日本でもアメリカでも起きないのか、という話もこれで説明がつきます。

 

企業と政治が癒着しているので、政治は企業にとって都合の良いことをするので、国民と企業で利害が対立するところは企業が優先になります。

 

そのような構造になっているので、性格的に「いい人」がトップに立てば変わるものではないのです。

 

また、岸田総理が、バイデン大統領が、財務省が、あるいはロスチャイルド家が、ディープステートが、どこどこのフィクサーがという個人名詞にあまり意味がないということです。それらはほとんど全て置き換え可能だからです。

 

重要なのは、世界の問題の本質はそうした個人の性格の問題というよりも、構造的な問題であり、構造的な問題には構造の理解と構造の変革でしか対処できないことに気が付くことです。

 

同じように、マスメディアがなぜ偏るのか、という問題も構造を理解すると簡単です。

 

●なぜマスメディアは偏るのか

マスメディアが偏るのは、まずマスメディアのビジネスモデルがスポンサー広告だからです。

まずスポンサーの意向が働きます。つまり、必ずスポンサーに忖度する構造になっています。

 

マスメディアは国民のためのメディアではない、有用な情報を流さない、と思う方もいるかもしれませんが、それはマスメディアの構造を考えたら当たり前の話だということです。

構造が分かれば、マスメディアが、国民のために報道をしてくれる、と考えること自体が、前提を間違えている過度な期待とも言えるでしょう。

 

偏っている、というより本来の仕事をしているに過ぎない、ということです。

企業の「収益構造」と「資本構造」が分かれば自明です。

 

これは先ほど例にあげた、エネルギー企業や軍需産業、製薬会社なども全て同じ理屈です。

 

企業のトップの仕事は、株主のために企業の利益を最大化させることです。

彼らはただ職務を全うしているのです。中には利己的な意図や勘違いが混じることもあるでしょうが、基本的には、ただ与えられた仕組みの中での役割を果たしているに過ぎません。

 

従って、政治家や官僚機構のトップ同様、企業のトップが変わることにそれほど大きな変化は期待できないということです。

 

そして上場企業の株は誰でも手に入るわけですから、そのオーナーシップを一般市民も持っていることもあります。

 

マスメディアの株を持って、株価は上がって欲しいし、自分たちのために報道もちゃんとしてほしい、となるとなかなか複雑な状態になっているわけです。

 

官僚機構についても同じことが言えます。

 

●官僚機構

財務省が大きな力を持っているのは、大蔵省の頃から変わりません。

アメリカではCIAなどの諜報機関も大きな影響力を持っています。

 

どちらも大きな力がありすぎて、それを監督する機関を機能不全にできることが問題です。

 

従って、財務省にしてもCIAにしてもトップが変わっても、組織の体質はなかなか変化しないということが、構造的に発生します。

 

企業、政府、官僚機構それぞれの構造の特徴を理解することが、世界の問題の核心の理解をするための第一歩になります。

 

官僚や政治家も中には、無知や思い込みで実際に国民に害すことがありますが、基本的には、企業同様、それぞれが役割を全うしているに過ぎないのです。

 

つまり、それぞれが職務や役割を全うしていたら、結果的に多くの人が傷つき、疲弊し、問題となっている。それが実際起きていることの真実です。

 

仮に誰も悪意がなくても、構造がそうなっているため、変わらず問題が起きることになります。

 

●どのように構造の問題を解決するのか

国も企業もトップが変わってもダメなら、どうすれば良いのでしょうか?

 

実際、国も企業もトップが構造の問題を理解し、対処できるなら一時的な変化を起こすことは可能です。

良い悪いはここでは議論しませんが、事例を挙げるなら、アメリカであればトランプ大統領、日本であればカルロス・ゴーンが日産の代表になった時に、確かに構造の変化は起きたと思います。

 

しかし、元々が構造の問題なので、そうした個人の才覚や歴史の気まぐれに委ねるのではなく、本来は構造的なやり方、新しい仕組みを作ることで恒久的な対処ができるはずです。

 

また、トップが変わればうまくいく、という発想自体が構造の問題を個人の問題に置き換えていて、的外れといえます。多くの人が強いリーダーシップに期待しすぎています。

 

そしてその構造的な問題の解決策こそ、前回説明した市民と政府の視点の切り分けにつながってきます。

 

●企業、政治、市民という三つの視点

企業、政治、市民という三つの視点を持つこと、構造を変えるにはまずこの切り分けが最も重要です。

 

この着想は、ドイツの哲学者ルドルフ・シュタイナーから得ていますが、歴史的には他にもこの着想に気がついた人はいると思われます。

 

まず直感的に企業と政治が結びついて暴走しているのが、世界の問題の本質になるのであれば、誰がこの暴走を食い止めるのか、という着想が最初に必要です。

その答えがまさに市民ということになります。

よく言われる、国民一人一人、という意味です。

 

例えば、政治家が戦争をしたいと言っても、民主主義であれば、国民全員がノーと言えば、いかに政治と企業が癒着していてもできないわけです。

ベトナム戦争アメリカが撤退したのは、まさにこの片鱗ではないかと思います。そもそも兵士も人間ですから。

 

しかし、一方で国民一人一人が望んでもいないことが、次々に起きてしまうのはなぜでしょうか。

 

それがまさに前回の話につながってくる論点です。

https://itseiji.hatenablog.com/entry/2023/11/23/103512

国民一人一人がどう思っていても、それが集団の票にならないと機能しないということです。

 

従って、企業と政治の癒着という世界の問題の本質にどう挑むのか?

その回答が、市民によるガバナンスであり、そのために日本の場合は地方自治体を通して票を収束していくこと、になります。

 

企業と政治の癒着という構造の問題に対して、市民という新たな軸を構造的に加えて(あるいは機能させることで)、問題を解消させるのです。

 

●なぜ市民は機能不全になるのか

現代の問題を少しバーチャル的にイメージしてみましょう。

三国志のように、政治、企業、市民という三つの勢力が存在し、政府と企業という二大勢力が一体となって市民勢力を攻撃し、市民が弱体化している様子をイメージしてみてください。

更に言えば、政治と企業は一体となっているのに対して、市民は一人一人バラバラで、お互いを攻撃し合い、統率も取れていないので、勝負になっていません。

 

それにより世界のバランスが崩れている状態です。従って、市民が本来の勢力を取り戻すとバランスがもどります。

 

政治と企業は市民を弱体化させた方が良いので、当然、政府やマスコミからこのようにしたら世の中うまくいきますよ、という話は出ないです。

 

曹操劉備が組んで、孫権を攻撃しているのに、孫権曹操に「曹操さん、どうしたら曹操に勝てるでしょうか?」と質問しているようなものです。

 

市民の中から答えを見つけないといけないのです。

 

「政府が」「有名人が」「専門家が」「マスコミが言っているから」というそのような基準で判断をくだしているうちは、永遠に正解に辿り着けないでしょう。

 

本稿が匿名であるのも、権威ではなく、内容で理解をして欲しいからです。