これから大きく伸びるビジネス分野といえば、バイオテクノロジーやPHRを中心としたヘルスケアの分野が挙げられる。
そしてこれらは言うなれば、人間の外殻、表面部分に関するイノベーションとも言えるが、それに伴い精神的、内面の分野もイノベーションが起きるであろうと予想される。
何故ならばまず、人間の内面分野に関しては、現状ビジネスの現場においてすら、非常に原始的な状態である。
例えば、採用一つ取っても個人の能力や才能を図り活かすことは、ツールよりも上司やマネージャーの目利きや経験に依存している部分が大きい。
これは料理ですら素材の科学物質単位にまで分解して、マリアージュがある組み合わせを生み出すような次元や、職人の技巧をロボットで再現できるようになったことなどを考えると、遥かに原始的な状態といえよう。
ストレスや鬱といった現代病もそうである。多くは社会的、企業の現場において発生することがわかっているものも、特に日本では未だに根性でなんとかしろ、といった具合であろう。
これがどのように変わっていくかといえば、例えば人間がストレスを感じる状態のパターン化がまず計測によって可能となっていくだろう。
それによって例えば
・どのようなコミュニケーションを測ればストレスが軽減され
・それによって労働生産性が上がることなども、データとして現れるようになる。
(単にストレスを減らすのではなく、企業としてもその方が、メリットがある、ということも可視化される)
他にも例えば、人間の感情領域の閾値やセンチメントが測定されるようになると、例えば、ある特定の広告や商品がどのような人にウケるのか、そしてそれは何故なのか、ということも大まかには分類できるようになってくる。
そうなるとより正確な商品開発やマーケティングが可能となる。
こうなってくると次は企業の方から、本人も気づいてないが実は欲しているような提案などもされるようになるだろう。
さらにこれが加速すると、人間は自分の内面を把握し、それによって的確な対応が行えるようになる。
これは健康管理において、例えば運動不足だから運動する、血糖値が上がってきたから糖分は控える、といったレベルのものがより細分化される。
例えば、今日は仕事でプレゼンテーションがあるがプレゼンテーション能力に左右する、脳内物質はあれで、それに合わせて飲むサプリメント、あるいは運動はこれ、みたいなレベルに到達するだろう。
これは、一部の「天才」と呼ばれていた、例えばスポーツ選手などをある程度、人為的に再現できるような状態にもなるだろう。もしかしたらビジネスのイノベーションも法則化できるかもしれない。
更に加速させると、今度は人間が内面的にも外面的にもどのような方向に進化するのか、ということをデザインすることが可能になってくる。
また、バイオやPHR領域の発達は同時にそれらだけでは推し量れない人間の本質というものもいずれ明らかになるだろう。
それは AIがまだ人間に及ばない意識領域のような話である。
意識というものの存在が測定あるいは観測可能であるかどうか、そしてそれは一体どういうものなのか。意識自体は観測不可能であっても、周辺部が埋まることによって明らかになかもしれない。
いずれにせよ、スマホやロケットのようなレベルに対して、非常に原始的なレベルの人間理解、人間存在、特に内面性、精神性というところにこれからイノベーションが起きてくるだろう。