IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

社会制度整理

社会制度整理

社会制度は政治、経済、市民と三つの領域に分け、政治がどの程度経済、市民領域と関わるのかで考えるとスッキリ理解できます。

 

また政治領域はどのように権力者を選ぶのか、何人いるのかなどそれぞれの組み合わせで何通りかのシステムを考えることができます。

 

例えば日本は天皇陛下という君主がおりますが、そこに権力はなく、国民主権で政治の代表者は国民の選挙で間接的に選ばれるので、立憲君主制というシステムになります。

 

色々な言葉が出てきてややこしいですが、どこの話をしているかがわかれば、整理されていきます。

 

●政治領域

①君主がいるかいないか

②権力がどこにあるか

③権力者の数

④権力者をどのように選ぶのか

中央政府の力

⑥市民権の範囲

 

●経済領域

政治がどの程度経済領域に干渉するか

 

●市民領域

政治がどの程度市民領域に干渉するか

 

 

●政治領域

①君主がいるかいないか

いる  いない

君主制 共和制

 

君主とは国王、王様、皇帝、天皇陛下など

 

②権力がどこにあるか

君主(独裁者)側 民衆側

 

権力が君主にある場合は絶対君主制、独裁者(組織)にある場合は独裁制

権力が国民、民衆にある場合は民主主義

 

君主ありで権力は民主にある場合は立憲君主制(日本、イギリスなど)

 

ファシズム

ファシズムは独裁者、独裁的な組織と結びつきやすいです

 

③権力者の数

・独裁者一人(ヒトラー、ナポレオンなど)

・複数独裁者(ローマの三頭政治)

・一党組織独裁(ソ連、中国)

・多数の民衆(民主主義国家の場合)

 

④権力者をどのように選ぶのか

・直接選挙(国民が選挙で直接選ぶ。アメリカ、フランスの大統領など)

間接選挙(国民が選挙で選んだ政治家が選ぶ。日本の内閣総理大臣など)

世襲制(血筋で決まる。君主制、王制など)

・独裁者指名制(独裁者が後任を決める。ローマ帝国など)

・クーデター(ソ連、中国など)

 

絶対君主制は基本的に世襲制

クーデターは基本的に軍事、独裁と結びつきやすいです。

 

中央政府の力

強いと中央集中(ロシア、中国など)

弱いと地域分散(アメリカなど)

 

□連邦制

連邦という言葉は中央集権か否か、というテーマと大きく関連しています。

連邦制は複数の国や州が合算してできている制度。

より国や州ごとの権限が強い場合は地域分散型

中央政府が強い場合は中央集権型

 

連邦国家は複数の民族や言語からなる場合が多いです

(ロシア、アメリカ、ベルギー、インド、イギリスなど)

 

地域分散が強いと独立運動や、内乱が起きたり

中央集権が強いと独裁、ファシズムと結びつきやすくなります。

 

⑥市民権の範囲

古代ローマなどでは奴隷には市民権がなかった

現代では例えば外国人に選挙権があるかないか

中国は共産党員と党員以外で範囲が分かれる

 

 

●国家の経済への介入

資本主義(自由経済)   小さな政府

共産主義(計画経済)   大きな政府

 

共産主義自由主義かは、政治が経済にどのくらい関与するかの問題。

 

計画経済のように、国家が経済を支配しているのが共産主義

民主主義では私有財産の廃止、計画経済のコンセンサスが得難いため、通常共産主義は独裁とセットになることが多い。

 

完全な資本主義と完全な共産主義の間を取ることもできる。

例えば

日本は原則、資本主義だが、政府も関与してくる

中国は原則、政府が決めるが、資本主義のルールにもある程度乗る

 

実際は完全な共産主義と完全な資本主義の間に、現代国家のほとんどはあると言っても良いでしょう。

 

大きな政府か小さな政府

経済領域、あるいは市民生活領域にどれくらい政府が関与するか。

 

社会主義共産主義

社会主義は国家が大きく経済、市民領域に介入する

共産主義はさらに介入が大きく、そもそも私有財産を認めない

 

□経済が政府に介入

政府が経済をコントロールするのではなく、経済が政府をコントロールする場合もあります(アメリカのケース)

経済領域が政治領域を支配し、市民領域を無視すると、民主主義が機能しなくなってくることになります。

 

政府による完全な経済、市民領域の介入が完全な共産主義

経済による完全な政治、市民領域の介入が完全な資本主義

とも言えます

 

サステイナブル

サステイナブルとは本質的には、経済領域の要望で、国が経済領域と市民領域に新しいルールを追加すること

 

●国家の市民(生活)領域への介入

介入の程度が大きくなると

自由主義(小さな政府)→社会保健→北欧型の高福祉(大きな政府)→監視社会、共産主義

 

政府が社会福祉を担えば担うほど、大きな政府になっていきます。ただし

介入=福祉の拡大、とは必ずしもなりません

例えば中国は強く市民領域に関与してきますが、生活の保障を国がするわけではありません。

 

ベーシックインカムもここの領域の話し

 

アリストテレスによる分類

君主制、共和制、民主制

堕落すると

専制、寡頭政、衆愚政

 

●当てはめ

□日本

政治は「立憲君主国家」

君主あり、主権市民、間接民主、中央集権

経済は社会主義寄りの資本主義

市民はある程度の福祉

 

□イギリス

政治は「立憲君主制連邦国家

君主あり、主権市民、間接民主、中央集権

経済は社会主義寄りの資本主義

市民はある程度の福祉

日本との大きな違いは、連邦制度になっていること。

 

アメリ

政治は「共和制独立連邦国家

君主なし、主権市民、直接民主、分散

経済はほぼ完全な資本主義

市民は社会保健も経済領域に委ねている

経済領域が強すぎて主権が経済になっている

 

□ロシア

政治は「共和制中央集権連邦国家

君主なし、主権市民、直接民主、中央集権

経済、市民ともにかなり国の関与が大きい(大きな政府

制度としてはアメリカに近いが中央集権。

中央集権が強く、独裁、ファシズムに近い状態になっている

 

□中国

政治は「一党独裁国家」

君主なし、主権共産党、独裁、中央集権

経済は計画経済だが資本主義も取り入れ

市民は監視社会に

アメリカとは逆で政治が経済領域を支配

 

□フランス

政治は「共和制民主主義国家」

君主なし、主権市民、直接民主、分散

経済は資本主義をベースに中程度の関与(国政企業など)

市民は労働者の保障などが厚い。 

 

サウジアラビア

政治は「絶対君主制独裁国家

君主あり、主権王族、独裁、中央集権

経済は国が主導

市民は国が大きく関与(宗教の規制など)