ワンピースのルフィは「海賊王に俺はなる!」と言い
Narutoのナルトは「火影になる!」と言う
そしてどちらも「絶対に無理だ」と周りに言われて育つ。
しかし、ルフィの方はまだ冒険中だが、ナルトの方は既に火影になっている。
正直な話、ルフィもナルトもアホキャラなので、好みではない。
デカいこと言っているのは、正直イラっとするが、
でもやはり言ったもの勝ちだなと思う。
結局ルフィは、海賊王を目指すことで仲間を増やして行く。
しかも最初は全然弱いのに、だんだんと強くなって行く。
これが、「近所の海賊に俺はなる!」がルフィのスローガンであったら
ゾロが仲間になることもないし、イーストブルーの外の仲間たちと出会うこともないだろう。
ナルトも同じで、「中忍に俺はなる!」と言ったら、お腹の九尾が懐くこともなく、ずっと中忍の任務をこなす下っ端の忍びで、物語が終わっていただろう。
夢は大きく、そして口に出してしまったほうが良い
でも、それを否定する人がこんなにも多いのはなぜなのだろう
一つは、多くの日本人は目の前の人間を「定点観測」してしまうからである。
ルフィが海賊王になる、と最初に言い出したのは、イーストブルーの村の中である。
さすがに、ここから何年後かにグランドラインまで行って、四皇と張り合うところまでは、村人は想像もつかない。
ルフィの伸びしろ、旅に出たら、条件が変わることを考えず
「いま目の前にいるルフィ」だけを見てものを言ってしまうのだ。
ナルトも同じだ。単なる村のいたずらっ子の少年が火影になる、と言っても
通常8歳の子供が火影になれるわけがないが、その8歳の時点で皆ものを言ってしまう。
しかし、結果としてナルトは成長し、火影になる
ルフィはまだ海賊王になっていないが、既に四皇クラスの海賊になり、海賊王にリーチをかけている状態だ。
これは経営者、投資家などにも当てはまる。
結局、投資家も経営者、あるいは親や教師もほとんどは定点観測でしか物を見る頭しかない。
だからやれストーリーがどうとか、実績がどうとか、あなたにはできるできない、と好き勝手にものをいう。もっと漫画を読んだ方がいい。
しかし、そんなナルトにも小さい頃から、彼の才能を見出した人物がいる。
その一人がカカシ先生だが、カカシは物語の中でもイタチの次くらいに頭が良いキャラ設定である。(作中で頭が上から数えて良い方)
ルフィも最初に彼を見出したのは、四皇のシャンクスである。
要するに、見る能力がある人は、定点観測しないし、独自の判断基準を持っている。あるいは、信頼し、その成長を見守ろうとする。それが重要である。
既に、九尾チャクラをコントロールできるようになった時に、ナルトが火影になれるなんてことは誰でもわかる。このときに、「火影に俺はなる」と言っても大多数が、頭は悪いけど、まぁなれるだろうと、感じるはずだ。
幼い時に言った夢を追いかけ続け、条件やステージが変わったからである。
しかし、幼い時に「火影になる!」と言わなければそのステージに来ることはなかったのだ。
だから、投資家であれ、経営者であれ、教師であれ、親であれ、やるべきことは定点観測の否定ではなく
見守ることと、信頼すること、そしてカカシやシャンクスのように自分の目で自信を持って物事を判断する力を身につけることである。
投資家で例えると、既に九尾モードのナルト様にすごいっすねとか擦り寄っても、次期火影様からしてみたらモブに過ぎない。これが上場手前の勝ちゲームに群がるアホな投資家の行動だ。
少なくともナルトが中忍になったあたり(シード調達付近)でナルトと仲良くなっておく必要がある。
とはいえ、現実世界では、「火影になる」「海賊王になる」
つまり、「大金持ちになる」「総理になる」
みたいなことを言う人間がいてもイラっとするのは事実だ、
なぜなら、単なる承認欲求とか、利己的な動機にしか見えないからだ。
総理になって、何をなすかが大事であり、富を得てどう使うかが大事なのに、手段と目的が入れ替わっている人間が、特に政治家になることほど危険なことはないからだ。
だから現実には、もっと使命や大義名分がいる。
「世の中を本質的によくするために総理になる」
「人々の暮らしを豊かにするため、事業を起こす」
これが更に具体的になると
政治家なら「税制改革」や「経済政策」
起業家なら「ヘルスケア」や「住宅」といった具体的分野
に落とし込んで話をすることだ。
先ほど、周囲の人間が定点観測をやめるべきだと言った
今度は、夢を語る側が単なる子供みたいな承認欲求ではなく、
もっと使命的なビジョンを語るべき番である。
この両者が重ねれば、日本からも優れた企業や人材はより一層生まれることだろう。