お金、貨幣の機能として一般的に言われる機能は
①交換
②価値を測る(これは100円、あれは1万円の価値みたいな)
③価値の保管
この三つが挙げられ、あるいはここに決済の機能が加わり、三つ、四つだとされているが、実はお金にはもっと秘められた機能があるのではないか、というのが今回の話である。
それは分配の基準を決める機能である。
世の中の経済的な問題の本質の一つに、貴重な資源をどのように分配するのか、というテーマが存在する。
例えば、希少な宝石や不動産、食べ物などもそれらに含まれる。
もっと具体的に言えば、とてつもなく美味しいフグが100匹しか取れないとして、食べたい人が100万人いたらどのように分配するのか、という話である。
ここでお金が果たす役割は、フグの値段が例えば100万円とすることで、まず100万円持っていない人が買えなくなり、100万人いた食べたい人が10万人くらいまで減る。
それでもまだ多いので、今度は1000万にすることで、ちょうど100人になった、ここでお金は資源の分配先を決める役割をしているのではないか。
実際の市場はここまでは効率的に機能しない。
それはマッチングが不完全だからである。つまり、フグを食べたい人全員がフグの情報にアクセスできないからである。
例えば、漁師がとてつもなく良いフグが上がっても、それをオークションに出さず、馴染みの客に売る、こういうことも起こるため、お金は分配の基準を決める機能がありながら、分配自体はお金以外の基準でも起きるからである。
実はこの分配の基準となる役割は、重要なのに見落とされている機能ではないだろうか。
実際、世界は資源の奪い合いのようなものであり、お金でその分配が決まるなら、直接的な奪い合い、戦争の抑止にも繋がっているのではないだろうか。
つまり、欲しいものがあれば奪う、という原始的なやり方をしなくても、お金を払うことで資源が手に入るなら、その方が効率的だと考えるプレイヤーが出てくる。
(一方でお金のために戦争をする輩も出てくるため、結果的にお金の出現が戦争そのものに与えるインパクトはプラスマイナスではあまりないのかもしれないが)
またこれを一つの着想とするなら、分配の基準をお金ではないものに変えることも可能ではないだろうか。例えば、先ほどの漁師が上客を優先するのもその一つの例と言える。
これはある種の信用や、付き合いを分配の基準としている例でもある。
そうすると、通貨には信用という概念も存在することになるため、実は主要な機能は三つ、あるいは四つなのかもしれないが、通貨に付帯する機能や概念は実はもっと奥深いのではないかと思う。
例えば今ある仮想通貨は、信用や決済の不便さという点で既存の通貨に比べて劣後しているが、通貨の機能三つは不十分ながら備えている。
このように通貨の本質がわかれば、仮想通貨のように、数字の羅列、ほとんど無のようなものから通貨を作ることも可能ということである(価値が実際にあるかは別として)