IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

ベーシックインカムに関する要旨と論点を整理する

 

ベーシックインカム

■前書き

ベーシックインカムは選挙の際などに話題になりますが、混乱の多い分野だといえます。

 

なぜなら、人によって微妙に思い描くイメージが異なるからです。

 

またベーシックインカムという政策、制度が本当に言われるような良いものなのでしょうか。

ここでは

ベーシックインカムには、実は複数の種類があること

ベーシックインカムの問題点

以上を整理していきます。

 

ベーシックインカムの種類

まずベーシックインカムの種類について整理していきます。

ベーシックインカムには大きく3つあります。

①現金給付型

②高負担高福祉型

③所得補償型

 

①現金給付型

これは既に自民党で何回か実施されています。

国民に数万円あるいは条件をつけて数十万円支給をするやり方です。

 

つまり、このやり方でのベーシックインカムは既にある程度実施されていて、金額をもっと増やすか否かというところが、論点となります。

 

多くの人がベーシックインカム、という話しをする時は、働かなくてもいいくらまで、現金をもっと増やすイメージだと思います。

 

②高負担高福祉型

これは主に北欧諸国で実施されている制度です。政府が学校や医療といった、生活に必要なサービスのほとんどを無料で提供する代わりに、税金負担が大きくなります。

 

③所得補償型

こちらは最低賃金、最低所得を政府が補償、補填する制度です。

 

生活保護最低賃金などがこれにあたります。

 

つまり、こちらもある程度、既に実施されている制度です。

 

あとは生活保護のような制度の金額を上げるか、あるいは最低賃金を引き上げるかの話しになります。

 

ベーシックインカムに関する10個のポイント

①基本的には国が実施するもの

国が行う政策、というのが当たり前ですが、重要なポイントです。

 

そうするとつまり、どのような形で分配するにしろ、国にお金がないとできない、つまり、お金にしろサービスにしろ、クーポンにしろ、配るのには財源が必要です。

 

②どのような財源になるのか

 

国の財源は基本的に「税金」か「国債」になります。

 

ですから、北欧諸国のように多く税金を負担するか、将来の借金とするかしかないわけです。

 

つまり、無限にお金が湧いてくるわけではありません。

 

③インフレを考慮する必要性

無尽蔵にお金を刷って財源にすれば良い、という発想もあります

 

しかし、お金をすれば、物価の上昇、インフレになるので、お金をすれば良いとは限りません。

 

例えば100万円支給されても、バスに乗る運賃が100万円であれば、それだけでは生活できないでしょう。

 

ある程度お金をすることで景気対策にはなるかもしれませんが、

例えば、いまの物価で例えば1人400万円お金を配る場合、物価の方がどうなるか予想がつかないところがあります。

 

④誰が負担するのか

税金や国債ベーシックインカムをやるとすると、結局誰かが負担していることになります。

 

結局、そうするとお金を稼ぐ人、あるいはからほとんど税金を取り立てるか、借金をして未来の誰かに負担させることになります。

 

お金を稼ぐ人から取るシステムだと、そういう人はいくら仕事をしても、意味がなくなるので、海外に出て行くか、あるいは仕事をしなくなります。そうすると制度が破綻することになります。

 

⑤既にある程度実施されている

ベーシックインカム」と言葉が新しいので誤解を招きますが、現金給付、社会福祉生活保護など、実際は既にある程度ベーシックインカムのような政策は実施されています。

 

⑥ではなにができていないか?

つまり、ベーシックインカムと新たに言う場合は、給付の金額と内容を増やすことです。

 

また、現金ではなく、例えば無償化やクーポンのような型など方法は現金以外もあり得ます。

 

⑦働かなくてもいいのか?

多くの方がベーシックインカムに抱くイメージの一つに、働かなくも生活が補償される、というものがあるのではないでしょうか。

 

しかし、実際は例えば全ての仕事をAIにできない限り、誰かが負担することになります。

 

また、仕事を外国人や移民を奴隷化して労働させて、実現していた時期も人類史の中であります。

 

結局誰かが働かないといけない、という状態で一部の人が働かなくもいいような社会は、昔の奴隷制度に近くなるイメージを持つ必要はあるでしょう。

 

⑧高負担高福祉は管理社会的な側面

北欧諸国のような高負担高福祉の場合、前提として、確実に税金を取る必要性があります。

 

そのためには、国民の所得はもちろん、細かいステータスを一元で管理する必要性があります。

 

日本でもベーシックインカムマイナンバーが一緒に議論されるのはそのためです。

 

したがってベーシックインカムにする場合、ある程度の管理社会になる前提は受け入れないといけないことも、併せて考える必要性があります。

 

⑨どのような税金にするのか

税負担は前提ですが、どのような税金にするかは多少選択肢があります。

 

例えば消費税をとてつもなく高くするのか、北欧諸国のように所得税を上げるかです。

 

法人税を上げる場合は、法人が海外に逃げる可能性も考慮する必要があります。

 

個人も優秀な人材が高い税金で海外に逃げ出す可能性はもちろん考慮が必要です。

 

⑩大きい政府か小さい政府か

税金を取り分配するものが必要なので、当然政府が存在し、かつ大きな政府が前提になります。

 

小さな政府、自由主義、資本主義というより、

大きな政府社会主義共産主義ものが

ベーシックインカムを実施する社会システムには合っている、ということも併せて知っておく必要があります。

 

結論として、ベーシックインカムを実施する場合、いくつか併せて考える必要があるポイントが複数あることに気がつくと思います。

 

なんとなく、フワッと働かなくてお金もらって生きられる、メリットしかない制度のように考えることは問題があると言えます。

 

ベーシックインカム」というものの中にも複数の方法があり、それぞれのやり方次第で、税金や社会保障など複数に関連してきます。

 

関連する項目を合わせて吟味する必要があります。

 

決してバラ色の制度ではありません。