IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

行政が嘘をつく時

引き続き「さくらを見る会」が話題に上り、国民の75%がこの問題に納得していないようです。

http://www.news24.jp/articles/2019/12/15/04562563.html

 

今回の問題の本質は行政の対応に関する、国民の不信感が根底にあります。

また、一番問題視しなければいけないところも、実はそこにあると考えています。

 

行政の一連の対応から、

加計学園の時のように逃げ切れるだろうタカ括り

②出席者名簿が出れば野党の追及から致命的に逃れらなくなる

 

という行動原理が透けて見えます。裏を返せば

「嘘をつき、グダグダに対応しても、それ以上にまずい状況よりはいい」

という判断からのシュレッダーな気がします。

 

また、国民側も桜の見る会を税金で行うか否かよりも、それくらい税金使ってもいいから、もっとちゃんとやって欲しい、と思っているのが本音ではないでしょうか。

 

つまり、法的な視点を除けば、有権者が納得していないのは、

「さくらを見る会を税金を使ってやった事実」ではなく

「それに関する対応の不誠実さ」なのです。

 

例えるなら、悪いことをして素直に謝れば和解できるものを、悪いとは何かを定義しろ、とか駄々を捏ねて人間関係が拗れるのと似たようなものです。

 

そして一番問題なのは、行政が平気で嘘や嘘に近いことを言っている、ということに本質があります。

 

例えばこれを会社や、学校組織などに当てはめて考えてみればわかります。

トップが自分の保身のために嘘をつくような会社で従業員がついて来るでしょうか。

また、学校の校長が自分の保身のために適当なことばかり言って、生徒には正直になれ、と言って説得力があるでしょうか。

 

問題の本質は行政の権威権力の失墜にあります。

 

行政構造では、内閣の下に省庁や官僚、公務員がいます。

その中には、法に関わる者、警察官、学校の先生もいます。

 

彼らがまず、そんなトップに忠誠心を誓えるでしょうか

そして上がそんな状況で、下が上以上に気を引きめることができるでしょうか。

警察や法務家、教師が自分の自己保身や利益だけを追及したら、国はどうなってしまうでしょうか。

 

今の安倍政権がやっているのはまさにそういうことなのです。

 

既に、一部の芸能人との比較が問題になっています。

なぜ、芸人は社会的に抹殺されるのに、与党の政治家は許されるのか。

その基準が全く不明瞭です。

 

もっと簡単に言えば、今の安倍政権がやっていることは、社会の風紀を乱しています。国のトップが平然と嘘をつき、誤魔化すような国において、下がそれを守るということはありえないからです。

 

そして、自分たちのやっていることが本質的な自滅行為だともわかっていません。

 

そして、社会の風紀が乱れるとともに、有権者が気をつけないといけないのは、このような時に綺麗事をいう政党が票を伸ばすことです。

 

民主党政権の時と同じ現象で、感情のスタンピードに流されて、他の政党が与党になったら、もっと悪くなりうる、ということを考える必要性はあります。

 

そこは有権者として慎重に見定める必要があります。

 

国民の関心は「対応の不誠実さ」であるので、そこをしっかり受け止めて対応すれば、まだ間に合うかもしれませんが、これだけ不誠実なことを言い続けたダメージ回復は時間がかかるでしょう。

 

 

大企業病がもたらす混乱

使命の切り口を持つと、様々な社会の歪み、混乱が見えてきます。

 

本来は企業は使命的、社会の公器としてあるのが理想とする形です。

 

これが今の多くの日本の大企業のように「存続することが目的」となり、使命を忘れてしまった場合、それが社会にどれほどマイナスのインパクト与えているのでしょうか。

 

現状の多くの大企業は「存続することが目的」になってしまっています。

中小企業にもそのような企業は多くありますが、大企業の場合は、資本規模が大きいため、社会に与える被害は甚大です。

 

まず、存続が目的になっている大企業は自身の規模の経済が活かせるところで、収益をあげようとします。同時により儲かる事業へとピボット、移動を開始しします。

 

そのためにROIなどの指標が使われます。そして、最も収益の上がる業界が金融だとわかり、こぞって金融、投資を始めます。

 

株主に対して増収増益を約束する必要があることが、上場している大企業にはこの現象が輪を掛けて起きます。

 

上場するまでは違う事業をしていたのに、上場した後は金融事業や投資事業を始める企業が多いのは、こうした理屈です。

 

まず、資本規模が大きい会社が存続するためだけに、利益率が高いところばかりにお金を注ぎ込んだらどうなるでしょうか。

 

投資に対してリターンが上がれば良いので、そのお金が必ずしも社会の役にたつか、本質的な役に立つかなどの視点は失われます。

 

つまり、本来は社会をより良い方向に使うべくお金がこうして何兆円という規模で湯水のように無駄になっていくのです。

 

そして、そうしたお金で企業は利益を増やし、人を雇用します。

しかし、存続することが目的の企業は、使命的な人よりも奴隷的な人を必要とします。

 

会社を存続させる、儲かるための仕事をする人が出世する、ということになるのです。しかもこの儲かるが、事業立ち上げではなく、「ただ儲かる」ということになるので、多くの企業はM&Aなどに走ります。(大企業で社内ベンチャーが育たないのはこうした理由もあります)

 

後はそうした儲かるを支える実務部隊、バックオフィスがいればいいので、企業はこうして奴隷量産体制となり、どんどんいびつになって行くのです。

 

日本の社会の風潮で「仕事は大変」「社会人は辛い」などは概ねこうした存続すうることだけの大企業が、広告を打ち、メディアに露出しているからも理由の一旦です。

 

そして存続する、儲かることだけが目的の企業は奴隷だけがいればよく、「パワハラ」「セクハラ」と言った一人一人の尊厳を無視した行為を平気で行い、あたかもそれが社会人として当たり前のようなことを言ってのけるのです。

 

そして今の「お金を持ち、多く納税している人が偉い」とする日本の社会システムにおいては

前回のブログ参照

http://itseiji.hatenablog.com/entry/2019/11/07/222004

 

お金を持っている人が発言権を持ちます。ですからそうした大企業のトップとそれに群がる人々が、名士のように扱われ、さも言っていることが正しいかのように扱われ、情報が拡散されていくのです。

 

しかし、お金を儲けることが目的、そして存続をすることが目的の人の意見が正しいとされ、そのような思想を若者が目指したら、社会がどうなってしまうでしょうか。

 

お金を持っている大企業が存続することだけを目的とすることは、投資の機会の損失、雇用、人々の暮らし、社会の健全さなど多くの点において、悪意影響を与えます。その規模と被害の度合いからいって、ハザード、災害級と言っても過言ではないでしょう。

 

そしてこれは「会社は本来社会の公器」であり、「仕事は奴隷でなく使命」という二つの前提がわからないと気づかないのです。

 

ですから使命がやはりここでも重要で、仕事は辛い、奴隷にならないとお金が稼げない、そう無意識で思わされている前提を崩す必要があるのです。

 

そしてもう一つ重要なポイントは小さなことを決して侮らないことです。全ての現象はたった一つ、「大企業の理念が存続に置き換わっただけ」で全て引き起こされています。小さな歪みが大きな歪みを産んで行く可能性があることにも注意をする必要があります。

 

まとめると

「大企業が存続だけを目的とすることによる損失一覧」

◉社会的にとって人にとって必要なところに投資がされない投資の機会損失

◉使命に行く人よりも奴隷的な人が採用される雇用損失

◉採用された人の生活よりも企業の利益が優先される従業員の幸福損失

◉お金を稼ぐ人が正しいとされ、優秀な若者の才能が金儲けだけに使われる損失

◉お金を稼ぐ人の発言が正しいとされ、本質的な意見が人々の耳に届かない損失

など

 

ストレスや鬱は、地震や戦争のようなわかりやすいものではありませんが、数の上ではそれら以上に人の命を奪っていると思われます。それらストレスの元を生み出していることにも関与しているとしたら、それは人の生死に関わる問題とも言えるので、我々はこの問題に対してもっと真剣に向き合う必要があるでしょう。

 

やはり「使命」は最先端だと思う理由

大企業、スタートアップを問わず、マーケティングあるいは、ファイナンス(資金調達)の先端を言っている人たちの話を聞くと、「ストーリー」というものが非常に重視されている傾向があるように感じる

 

マーケティングの視点で言えば、一つ、インフルエンサーマーケティングを例に取ると、例えば女性のインフルエンサーが化粧品を自身のインスタグラムで紹介したとする。

 

このような時に、例えばそのインフルエンサーが今までオーガニックな化粧品を使っていたのを挙げていたのに、急にケミカルな化粧品を取り上げたら、ユーザーは「あぁこれはお金もらっているな」と気づく。

 

それは、これまで投稿していた写真も見れれば、もし美容のカリスマとしてインスタのフォロワー数が伸びていたら、それなりに美容に感度が高い人がいるため、簡単に勘付かれてしまうのである。

 

そしてこのような場合、インフルエンサーマーケティングは失敗する。

「本当に良いものを進めているわけではない」とユーザーがわかるから、購入にならない。宣伝としても、むしろネガティヴな印象を持つことが多い。

 

これはストーリーの視点で言えば、ストーリーがおかしいと言える。

 

本来は美容のカリスマで、オーガニックな化粧品を使っていた人が、急に違うものを勧めだしたら、そのストーリーはおかしい、何か裏があるな、と周りは感じてしまう。

 

つまりストーリーがおかしい、違和感があることの問題点は何かと言えば

 

信用が落ち、成果が上がらない、ということになる。

 

また、ネットでは履歴も残る(かつ消しにくい)し、すぐ調べられるという特徴があるため、ストーリーがおかしくなったことに気づきやすいし、理由も調べやすい。

 

同じようにファイナンス(資金調達)でもストーリーが重視される。

 

なぜなら、投資家あるいは銀行がお金を出すか否か、は色々条件を挙げても、最後は担当者の「腹落ち感」で決まるからである。特に投資の場合は。

 

それを腹落ちさせる条件が「売上」なのか「実績」なのか、なんなのか、という話に過ぎない。

 

そしてどのような情報も基本的には過去の情報であり、絶対はない。

これまでの情報で、未来はどうなっているか、それを手探りながら、リスクを計りながら意思決定をするのである。

 

未来の情報を知る、確度の高い指標は何か?それで最近注目されているのが、「ストーリー」と言える。

 

資金調達におけるストーリーとは、「なぜ」、「誰が」、「何をするのか」がしっくりくることである。

大雑把な例だが例えば

 

「金融業界に10年いた人が、会社を辞めて革新的なアイデアフィンテックビジネスを立ち上げる。」

 

これはかなり綺麗なストーリーと言えよう。その業界をよくわかっている人が、確かな確証を持って、儲かる事業を立ち上げようというわけだ。

 

反対にこういう例はうまく説明が求められる

 

「飲食業を10年やっていたが、最近話題のブロックチェーンビジネスに参入する」

 

飲食業とブロックチェーンを結ぶXが革新的なものであれば良いが、一般的にサービス業をずっとやっていた人間が、IT業種にそれほど知見があるわけがないのでは、と思われてしまう。

 

また、こういうものは、ある程度プレゼンテーションで誤魔化すこともできる。

つまり、アイデアもなく、実績もなく、ビジョンがなくても、あるように見せかけることはできる。

 

しかし、それも今はネットで調べることもできるし、あるいは目利きの投資家はストーリーを見ると、何かが破綻していることに気づくのだ。

 

だから、資金調達においても、ちゃんとしたストーリーを構築するのが重要なのだ。

 

未来を最も担保するのは、ストーリーなのだ。

 

信用のある人が確度の高いストーリーを描くことは、どのような実績よりも参考になる。

 

例えば売上10億円の会社の社長でも、新規事業を適当にやれば失敗する可能性は高い。

 

「なぜ、それをやるのか」、それがうまく説明できないようなら、やるやらない、成功するかしないかは別として、投資家はお金を出しづらい。

 

つまり、マーケティングにおいてもファイナンス(資金調達)においても、ストーリーが未来に対して最も確度の高い信用を実は提供しているのではないか、ということだ。

 

そしてストーリーというものを更に落とし込むと「使命」の概念に行き着く。

 

「使命」においては、誰もが自分の性格、役割、才能から自分にしかできないことをする概念であり、これ以上説得力のあるストーリーはない。

 

更に付け加えると、どんなにそのプレイヤーが優秀で、能力を使いこなすような仕事をしていても、自己中心的な目的で生きていたら、周りは「旨味に預かろう」とは思っても「応援しよう」などとは思わないだろう。

 

現状、特に資金調達においては、それでも儲かればいいや、のストーリーでしかなくても資金調達は可能は可能だが

 

使命は「世の中を永続的に良い方向にすること」に限定される。世の中を永続的に良い方向にするとは例えば以下のようなビジネスモデルになる

・誰もが健康的で美味しいと思えるような食事を提供する

・持続可能かつ使用目的を満たすようなプロダクトをデザインする

 

簡単に言ってしまえば、多くの人が幸福になれるようなものを事業として取り組むわけだから、応援されないわけがないのである。

 

つまり、「使命」は今流行りの「ストーリー」の中にあり、かつそれを上回る概念とも言えるので、最先端なのではないかと感じる次第である。

 

親の脛はかじった方が得

税金の視点からだけ見ると、親の脛はかじるだけかじった方が得です。

 

なぜなら、扶養義務が存在し、子供の生活費は無税になるからです。

 

例えば生活費を年1000万円親が払ってくれれば無税ですが、1000万円を子供に与えるとなると、贈与税なら20%で200万円が、相続なら相続税がかかります。

 

ですから、資産を移すタイミングとして、親の死後の相続税、その少し前の贈与税と考えがちですが、子供が若いときに生活費を渡した方が、親が財産がある場合は、税金的には有利になります。

 

ですが、そのようなことを皆がし始めたら、国としては大損害です。

 

働かない人が増えるというのはどういうことを意味するでしょうか。

 

まず、労働者が減りますからGDPが減りますし、納税者が1人減ることになり、それが増えれば大幅な税収減になります。

 

ですから、政府は世論を働かないは悪、親のすねかじりは悪、という方向にメディアを誘導します。

 

(そこに加えて日本人の真面目な気質と村社会意識が、ニート叩き現象などを生み出します。)

 

ちなみに働くことが正しいか否かではなく、本当に人が幸せになるには、使命の仕事を自発的にするのが一番良い、というのが私の見解です。

 

世論の波に呑まれると、物事の本質を見失います。

 

そして今回は、政府のロジックがテーマです。

 

政府はなぜ、勲章を与え、メディアを用いて高額所得者がまるで人として上位であるかのような誘導をかけるのでしょうか。

 

それは、高額所得者はそれだけ国に税金を収めるからです。

 

ですから金持ちは国に優遇されます。富裕層ランキングや高額納税者ランキングなどが存在するのもそのようなものです。

 

金持ち=高額納税者がリスペクトとされる世界観を演出するのです。

 

ですから、本当の富裕層の子弟がどれだけ親の脛を実際はかじっていても、世論に出ることはまずありません。

 

中流階級の家庭で親の脛をかじる人が問題視される報道はあっても、財閥の子弟が同じことをしても報道されないでしょう。

 

なぜなら、その親がそれを補って余るほどの税金を収めているので、お咎めなしというやつです。また、そうしたお金持ちにあまりに厳しく当たると、いまの世の中では海外に行ってしまうこともあるので、ほどほどにする必要があるのです。

 

上級国民なるものも存在するのは当たり前です。

 

差別が存在しないわけがないし、むしろ存在しなかったらおかしいのです。

 

それは国というものを、どこまでも「人間の集団」と理解すれば簡単に理解できます。それは企業やスポーツチームであっても同じ理屈です。

 

その企業に多大な貢献と売り上げをもたらす人を優遇しない企業はありません。また、素晴らしいスポーツ選手を進んで手放したいチームもありません。

 

国であってもその国に貢献する人を厚遇するのは当たり前なのです。

 

このような国のロジックがわかれば、まず「なぜ世論がそのようになるのか」が理解できます。

 

そして次に、そのようなロジックがわかれば、無暗に

「金持ちを優遇するあるいは上級国民だから優遇する国はけしからん」、という思考に陥ることもないでしょう。

 

これはもっと本質的に物事を見ると、国も企業もあらゆる人の集団というものは、どこまでいっても優秀な人間の奪い合いでしかない、ということ、社会とは、どこまでいっても人が大事なのだということが良くわかります。

 

 

 

 

お金の本質

お金に関する重要な本質は3つあります。

信用創造

②交換(価値の主観性)

私有財産

 

この3つの概念がちゃんと理解できれば、投資でもビジネスでも資産管理でも、お金に困ることはおそらくないと思います。

(図らずもマルクス資本論の解説になってしまうかもしれませんが)

 

信用創造

お金の仕組みの本質の1つに、信用が高い方がお金を創造しやすい、という性質があります。

簡単に言えば社会的に地位も名誉も高い人の方が、お金を借りやすいし集め安いです。

例えば孫正義が新しいビジネスをやるから投資をしてくれ、と言えば数億円はすぐに集りそうですが、全くの無名の素人が同じことをしても、必死で説明を求められかつうまくいかないことが、ほどんどだと思います。

 

この一般の素人と孫正義との間に横たわる違いが「信用」なのです。

 

ですから、孫正義は信用によってお金を創造しているとも言えるのです。

 

この信用を実績という言葉に置き換えると、よりわかりやすいです。

 

ビジネスでは実績を見て仕事の発注をかけることが多いですが、これは言い換えれば、信用が売上を作っているともいえます。

 

東大に行っていい企業にあるいは、官僚になって、あるいは弁護士資格をとって、といういわゆるエリートコース的な考えもこれに基づいています。

 

名声をお金で買っても、借り入れで信用を買っても、それ以上の売上が見込めるなら、赤字にはならないのです。(例えば学費に投資し学歴を手に入れ将来回収する)

 

この信用をお金で買って、さらにお金を産む、ということの本質は、結構気が付いている人は少ないように思われます。

 

本当に名前だけ買って実際はできないのが詐欺師ですが、お金の仕組みを悪用しているのは、詐欺師の方がむしろ多そうです。

 

②交換(価値の主観性)

以前説明したので、前回話しきれなかった、「わらしべ長者」と相対価値の話をします。

http://itseiji.hatenablog.com/entry/2015/05/12/182322

まず、おさらいとして、モノの価格というものは基本的には主観で決まります。

ですから、原価が10円でも、買い手が1億の価値があると思うなら1億円でも取引されます。

 

この交換の時のもう1つのポイントは、お金の価値は人ぞれぞれ違うということです。

 

これも、結構気が付きにくいところなのですが例えば、お小遣いの貯金が総額1万円の人の100円と、総資産が1億円の人の100万円は、桁は4桁違いますが、総資産に対する割合はどちらも100分の1です。

 

よく大金持ちの1億と普通の人の1億は違う、という話と同じです。

1000億資産がある人にとって1億は失敗してもなんの問題もない金額ですが、全財産が1億の人にとっては、文字通り全財産をかけていることになります。

 

これは違う言い方をすると、お金を持っている人は、持っていない人に比べ、お金の価値がある意味希薄になる、つまり同じ1億円でも、感じる相対価値が、自分がいくら持っているかによって変わって来るのです。

 

これがいわゆる「わらしべ長者」の話でもあります。

 

なぜ、わらしべ長者が成り立つかと言えば、例えば食べ物を沢山持っているが、水を持っていない人は、食べ物を多少差し出しても水が欲しいですし、水を沢山持っていても食べ物を持っていない人は、多少水をあげても食べ物が欲しいのです。だから食べ物と水で交換が成り立ちます。

 

そして、お金を沢山持っている人にとって、お金を多少払っても欲しいものがあれば、取引に応じます。ですから、わら一本から最後は大金になるのです。

 

そしてこのわらとは、ビジネスでいえば、自分ができること、自分にしかできないこと、その何をわらとするかで、交換できるものが決まってくるのです。

 

最も付加価値が高いものを自分が提供できれば、自分がわらとなり、何も持ってなくてもわらしべ長者になれるのです。

 

私有財産

私有財産のテーマは簡単に言えば、「所有するとは何か」、ということになります。

 

例えば我々は通貨を持っているので、家に物がなくなっても、スーパーやコンビニに行けば必要なものが買えます。これは、我々がモノを所有しなくても、小売店がモノを代わりに仕入れ、倉庫のように保管してくれているとも言えるので、仕入れ代と倉庫代を払うよう側面もあります。

 

他にも、友達の家にただで泊めてもらうようなケースも、自身で土地も建物も持たず、あるいはお金を払わなくても、サービスを受益することができます。

 

図書館の本や公園も同じです。公共のものは、その地域の人はいつでも利用できるため、「所有」しなくても「使用」することは可能です。

 

つまり、多くのものは「所有」と「使用」という概念は実は分離することができる、言い換えれば、自分で購入しなくてもいいものは結構沢山ある、ということがいえます。

 

昨今のシェアリングエコノミーというのは、そうしたお金、財の本質を捉えた仕組みと呼べるでしょう。

 

もう少しビジネスの分野でいえば、自己資金がなくても投資家にお金を入れて貰えば、起業できるのと同じです。何もかも自分で所有する必要がない、ということです。お金がないと起業できない、という言葉の嘘はここにも含まれています。

 

では自ら所有することなく、サービスを受けられるのであれば、それが何によってなされるのでしょうか。

 

それが先ほどいったような友人関係、あるいは家族関係、あるいはビジネスでいえば共通の目的や利害関係です。

 

日本人はお金を稼ぐことが目的になり、お金を稼いで何をするかの質問に大抵答えられないことが多いです(以前のブログにも書きましたが、実際は100億位上あっても買えるのは土地か会社くらいです)

http://itseiji.hatenablog.com/entry/2015/02/11/231423

 

そして、実はサービスを受けることが目的なのであれば、むしろ重要なのは「関係性」であり、お金を払って所有する、あるいは私有する必要があるものはかなり限られてくることに気がつくでしょう。

 

(ちなみにお金を稼ぐ目的が貯蓄・投資という答えは使い道が決まっていないのと同じです。基本的にお金を稼ぐことが目的、金持ちになることが目的、というのは、結果的には納税することが目的、と同義なので、国としてはお金持ちになるのが目的の人を増やしたいのかもしれませんが。)

 

所有するのは本来は目的があるからであり、所有が目的になっているケースが多いのではないでしょうか。

 

基本的に私有財産の本質は土地にあります。土地は担保となり、信用を産み、財を産むからです。ですから、地主は何もしなくてもお金が入ってくるのです。

 

ですから、投資やビジネスで稼いだお金も一般的に土地、不動産に向かうことが多いです。これはバランスシートを見ても一目瞭然です。

 

土地は「資産」として計上され、それを担保に借入で現金を「資産」として更に増やせます。このようなことができるのは、基本的には不動産だけです。

 

言い換えれば、資本主義において、所有する最も価値があるものは不動産だけ、ということになります。

 

トランプやあるいは成功している資産家のほとんどはこの方法を使っていると言っても過言ではないでしょう。

 

もっと簡単に言えば資産家がやっていることは

信用創造②交換③私有財産

 

この3つの基本原則に忠実なだけだと思います。

 

そしてこれは努力というより、以下の3つの要素がより必要です。

①本質を理解すること

②知恵を使うこと

③不相応な感情に流されないこと

 

日本人は頑張ったら金持ちになれる、あるいは金持ちはみんな悪いことをしている、お金持ちは運がいいだけだ、とか思いがちですが、その辺は思い違いだと思います。

 

恋愛に例えると、相手のことを知らないのにいくら頑張ってもモテないのと同じです。相手、つまりお金の本質をよく知る必要があります。

 

悪いことをすれば、一時的に金持ちになることはありますが、上記の「関係性」が破壊されますので、暫くすると貧困に陥ります。アップダウンが激しい金持ちが多いのはこのためです。

 

お金持ちは運が良い人が多いのはありますが、例えば宝くじで1億円当たってもお金の使い方を間違えたら一瞬で無くなるので、運だけでは富を維持できません。

 

重要なのはお金の本質を理解し、適切に扱うこと、すなわち適切なフィナンシャルリテラシーとそれを扱う富の器を築くことだと思います。

 

トランプのロジックを理解し、世界情勢を読み解く②

前回、トランプと北のロジックでいくと、「歴史的な同盟」シナリオがありえるかもしれないが、それに絶対的な異を唱えるのが中国とロシアです。

 

まず、中国としては鼻先に敵の基地ができるので、全く許容できるわけはありません(とはいえすでに韓国にあるので似たようなものといえば似たようなものですが)

 

ここで、中国のロジックを整理してみましょう

 

基本的に中国はアメリカや北ほど綺麗なロジックはないです。

 

つまり、習近平は中国を一つにはまとめきれていないとみています。

 

まずよく言われる中国覇権国家説ですが、現状では無理です。

 

そもそも覇権国になるにはいくつかの条件があります。

①海洋覇権(マハンが言うように世界の海を支配すること)

基軸通貨を持つこと

 

この二つが大きな覇権国の条件です。

 

まず、海洋覇権はアメリカ(あるいは英米)と中国とでは、技術的にも世界に展開している基地、艦隊の数でも圧倒的な差があります。

 

アメリカは全世界に基地があり、そこが港にもなります。かたや中国は、海洋という視点でいえば、完全に太平洋側は日本とアメリカに抑えられていて、かろうじて、インド洋に出ているに過ぎません。

 

基軸通貨という点はどうでしょうか。こちらはそもそも中国経済は、「基軸通貨でないことで経済的なメリット享受している国」です。

 

基本的に基軸通貨になると買われますから、当然、通貨は切り上がります。

 

中国は元安の輸出で国を潤す政策をとってきたので、元高になれば国が破綻します。いわゆる中国が引き金で、世界恐慌というのは元高からも起こり得ます。

 

それを自ら今のタイミングで中国がやるか、ということです。

 

基本的に中国が覇権国家となりたいのは「メンツ」の問題だけです。

 

覇権国となれば、アメリカのように世界に軍隊を送る必要もありますが、そのコストは膨大です。

 

加えて、中国はアメリカと違って、チベットウイグルという国内に独立しそうな国家を二つも抱えているようなもので、世界の平和を守るとか言っている場合の国ではありません。

 

基本的に今の中国にとって覇権国となる実益は何一つないのです。それでもそれが議論のテーブルに上がってしまうのは、一部のアナリストがポジショントークを含めて言っているのと、単なるメンツの問題だけです。

 

そもそも、中国は10億人以上の人口と全世界に華僑がいますから、そもそも今の中国のトップはそこから富を吸い上げるだけで充分潤います。

 

従って、国内のマーケットだけで充分にまわるし、むしろ内需をしっかりさせて、元高に備えよう、と考える方が現実的です。

 

その辺の現実派とメンツ派(中国でいえば、三代派閥の官僚系、軍人系、旧革命幹部の子孫たち)のせめぎあいがあり、だから中国のロジックは一本に見えないと思うのです。

 

ですから、仮にアメリカが北朝鮮と歴史的な同盟を交わしても、ロシアがクリミアを占拠したときのように、実際には中国は反応できないのではないかと思います。(あるいは変な暴発が起きる可能性)

 

一方、ロシアの方は北朝鮮アメリカの属国になると、完全に領土を接することになります。

 

基本的に日本にいるとロシアのことがよくわからないので、今のロシアのロジックがどうなっているかはわかりませんが、政治のロジックからすると絶対的に許しがたいと思われます。

 

とはいえ、プーチン自身もクリミア占領という戦後レジームではありえない禁忌をおかしましたし、ロシアがどのような反応をするかは予測しづらいところです。

 

しかしながら、このような方向に向かうと、北方四島返還などは、アメリカの外交とのセットの話になり、その属国である日本に譲歩するいわれはない、ということになり、四島返還に影響することは充分考えられます。

 

一連全て、これも個人的な予測に過ぎませんが、一連の韓国問題にしろなんにしろ、世論は政府を叩いていますが、政府側は、飛んだアメリカのとばっちりを受け、立場的には何もいえずできず、やはり憲法改正して一刻も早く真の独立国家にしたい、と歯ぎしりしている安倍総理の顔がなんとなく浮かびます。

トランプのロジックを理解し、世界情勢を読み解く①

ここしばらく起きている、韓国、香港、あるいは北朝鮮の問題は全て繋がっていると見ています。

 

ただ、これらが繋がっているというのは、いくつかの前提とトランプの頭の中(ロジック)がわからないと全くよくわからなくなります。

 

まず、前提としてアメリカと中国は経済戦争の中にあるということです。(個人的には覇権争いではないと思っています)

 

その経済戦争(戦争と言い換えても良いかもしれません)が表に現れているのが、韓国なり香港の問題です。

 

ここの重要なポイントは、一連の日本の韓国に対する対応は、基本的に後ろにアメリカがいます。

 

基本的にアメリカの承認なしで、日本が単独であのような行動を取ることはできません。

 

むしろ、アメリカが積極的なのか消極的なのかがわかりませんが、指示を出していると言っても良いでしょう。

 

その理由が韓国と中国があまりに近い、というのが一つあります。

 

ただ、このロジックはあくまで「政治家」のロジックになります。

 

つまり、韓国に何らかの制裁を加えるのは、中国から韓国を引き離す方角でなくてはいけないのです。

 

ですが、今回の半導体に関する規制は韓国経済に大きな打撃を与えます。

 

そうすると実際は韓国は、日本アメリカではなく、中国を経済的に頼ることになるので、実質的に韓国と中国の結びつきを深めてしまいます。

 

これは政治インテリジェンスからするとおかしなことです。

 

実はここが最大のキモで、トランプは大統領にも関わらず、「政治」ではなく「経済」のロジックで動く大統領なんだ、と見ると色々なことがスッキリします。

 

基本的にトランプのロジックは二つだけだと思います。

①自分が再選すること

②そのためにアメリカの景気をよくすること

 

完全に企業の経営者のロジックです。

 

これでみると、韓国への制裁は、韓国の製造業に打撃を与えて、アメリカのメーカーが潤う、つまりそこだけ(経済)しか見ていない、とするとスッキリ見えます。

 

香港はいってしまえば、米中の代理戦争の場のようなものです。

 

ここで北朝鮮に関して、トランプのロジック、あるいは金総書記のロジックを考えると、一つの大胆な予測もできます。

 

それは「北朝鮮アメリカが歴史的な同盟を結ぶ」というシナリオです。

 

トランプのロジックに対して、北のロジックは更にシンプルです。

 

金王朝が何なら日本の皇統のように生き残れば良い、それだけです。

 

つまり、トランプ側のニーズは

北朝鮮という歴史的に誰もがどうすることもできなかった問題を解決した

アメリカの企業、経済が潤う

 

北側のニーズは

・金総書記以下一族の命の保護

 

この二つが一致するシナリオが実は北朝鮮アメリカとの同盟、つまり極端にいえば北朝鮮が対アメリカに対して、今の日本や台湾のようになることです。

 

これが従属国ですと、金総書記は国内をまとめることが難しくなります。

あくまで、世界最強国のアメリカと対等に条件をまとめた英雄、このような見せ方である必要があるのです。

 

トランプのロジックをもう少し掘り下げますと、彼は不動産で財をなした人物です。不動産ビジネスで成功する大きな特徴は、バランスシートと損益計算書の両方を理解する必要がある、ということです。

 

つまり、彼は常にストックとフローで経済を考えます。更に不動産のもう一つの特徴は、減価償却と現在価値です。

 

つまり、トランプの意思決定はそろばんを弾くときに、フローとストックをNPVあるいはLTVで見ていることになります。(今のお金の価値と将来のお金の価値をちゃんと計算している)

 

その視点で考えますと、実は戦争で北朝鮮を吹っ飛ばす、というのはあまりないのではないかと思います(以前ブログでトランプの北朝鮮攻撃予測をしましたが、あの時はトランプのロジックが違うことを考慮していませんでした)

 

あまりこのような書き方をするのはよくないのですが、基本的に戦争で経済が儲かる、というのは世界大戦規模にならないとないと思っています。

 

データでも出るでしょうが、感覚的に世界大戦後の湾岸戦争イラク戦争アフガニスタンで米国経済が潤ったというのは限定的であると思います。

 

つまり、軍需産業だけが儲かっただけで、その後の駐留維持コストなどを加味すると、実際はコストの方が大きいのだと思います。

 

これはトランプのロジックで行くとやりたくない一手になります。

 

それよりも、北朝鮮アメリカ企業を進出させ、そこに基地を作らせ、基地の負担を北朝鮮政府に押し付けたら、勘定としては黒字になると思います。

 

そして、北朝鮮に基地ができるのであれば、韓国に基地がある必要はありません。そこに駐留している米軍をそのまま北に移動させるだけで、費用はなくなります。

 

もちろんこのシナリオを絶対許容できない国がいます。中国、そしてロシアです。

 

この説明が長くなりますので、それはまた次回に