お金に関する重要な本質は3つあります。
①信用創造
②交換(価値の主観性)
③私有財産
この3つの概念がちゃんと理解できれば、投資でもビジネスでも資産管理でも、お金に困ることはおそらくないと思います。
(図らずもマルクス資本論の解説になってしまうかもしれませんが)
①信用創造
お金の仕組みの本質の1つに、信用が高い方がお金を創造しやすい、という性質があります。
簡単に言えば社会的に地位も名誉も高い人の方が、お金を借りやすいし集め安いです。
例えば孫正義が新しいビジネスをやるから投資をしてくれ、と言えば数億円はすぐに集りそうですが、全くの無名の素人が同じことをしても、必死で説明を求められかつうまくいかないことが、ほどんどだと思います。
この一般の素人と孫正義との間に横たわる違いが「信用」なのです。
ですから、孫正義は信用によってお金を創造しているとも言えるのです。
この信用を実績という言葉に置き換えると、よりわかりやすいです。
ビジネスでは実績を見て仕事の発注をかけることが多いですが、これは言い換えれば、信用が売上を作っているともいえます。
東大に行っていい企業にあるいは、官僚になって、あるいは弁護士資格をとって、といういわゆるエリートコース的な考えもこれに基づいています。
名声をお金で買っても、借り入れで信用を買っても、それ以上の売上が見込めるなら、赤字にはならないのです。(例えば学費に投資し学歴を手に入れ将来回収する)
この信用をお金で買って、さらにお金を産む、ということの本質は、結構気が付いている人は少ないように思われます。
本当に名前だけ買って実際はできないのが詐欺師ですが、お金の仕組みを悪用しているのは、詐欺師の方がむしろ多そうです。
②交換(価値の主観性)
以前説明したので、前回話しきれなかった、「わらしべ長者」と相対価値の話をします。
http://itseiji.hatenablog.com/entry/2015/05/12/182322
まず、おさらいとして、モノの価格というものは基本的には主観で決まります。
ですから、原価が10円でも、買い手が1億の価値があると思うなら1億円でも取引されます。
この交換の時のもう1つのポイントは、お金の価値は人ぞれぞれ違うということです。
これも、結構気が付きにくいところなのですが例えば、お小遣いの貯金が総額1万円の人の100円と、総資産が1億円の人の100万円は、桁は4桁違いますが、総資産に対する割合はどちらも100分の1です。
よく大金持ちの1億と普通の人の1億は違う、という話と同じです。
1000億資産がある人にとって1億は失敗してもなんの問題もない金額ですが、全財産が1億の人にとっては、文字通り全財産をかけていることになります。
これは違う言い方をすると、お金を持っている人は、持っていない人に比べ、お金の価値がある意味希薄になる、つまり同じ1億円でも、感じる相対価値が、自分がいくら持っているかによって変わって来るのです。
これがいわゆる「わらしべ長者」の話でもあります。
なぜ、わらしべ長者が成り立つかと言えば、例えば食べ物を沢山持っているが、水を持っていない人は、食べ物を多少差し出しても水が欲しいですし、水を沢山持っていても食べ物を持っていない人は、多少水をあげても食べ物が欲しいのです。だから食べ物と水で交換が成り立ちます。
そして、お金を沢山持っている人にとって、お金を多少払っても欲しいものがあれば、取引に応じます。ですから、わら一本から最後は大金になるのです。
そしてこのわらとは、ビジネスでいえば、自分ができること、自分にしかできないこと、その何をわらとするかで、交換できるものが決まってくるのです。
最も付加価値が高いものを自分が提供できれば、自分がわらとなり、何も持ってなくてもわらしべ長者になれるのです。
③私有財産
私有財産のテーマは簡単に言えば、「所有するとは何か」、ということになります。
例えば我々は通貨を持っているので、家に物がなくなっても、スーパーやコンビニに行けば必要なものが買えます。これは、我々がモノを所有しなくても、小売店がモノを代わりに仕入れ、倉庫のように保管してくれているとも言えるので、仕入れ代と倉庫代を払うよう側面もあります。
他にも、友達の家にただで泊めてもらうようなケースも、自身で土地も建物も持たず、あるいはお金を払わなくても、サービスを受益することができます。
図書館の本や公園も同じです。公共のものは、その地域の人はいつでも利用できるため、「所有」しなくても「使用」することは可能です。
つまり、多くのものは「所有」と「使用」という概念は実は分離することができる、言い換えれば、自分で購入しなくてもいいものは結構沢山ある、ということがいえます。
昨今のシェアリングエコノミーというのは、そうしたお金、財の本質を捉えた仕組みと呼べるでしょう。
もう少しビジネスの分野でいえば、自己資金がなくても投資家にお金を入れて貰えば、起業できるのと同じです。何もかも自分で所有する必要がない、ということです。お金がないと起業できない、という言葉の嘘はここにも含まれています。
では自ら所有することなく、サービスを受けられるのであれば、それが何によってなされるのでしょうか。
それが先ほどいったような友人関係、あるいは家族関係、あるいはビジネスでいえば共通の目的や利害関係です。
日本人はお金を稼ぐことが目的になり、お金を稼いで何をするかの質問に大抵答えられないことが多いです(以前のブログにも書きましたが、実際は100億位上あっても買えるのは土地か会社くらいです)
http://itseiji.hatenablog.com/entry/2015/02/11/231423
そして、実はサービスを受けることが目的なのであれば、むしろ重要なのは「関係性」であり、お金を払って所有する、あるいは私有する必要があるものはかなり限られてくることに気がつくでしょう。
(ちなみにお金を稼ぐ目的が貯蓄・投資という答えは使い道が決まっていないのと同じです。基本的にお金を稼ぐことが目的、金持ちになることが目的、というのは、結果的には納税することが目的、と同義なので、国としてはお金持ちになるのが目的の人を増やしたいのかもしれませんが。)
所有するのは本来は目的があるからであり、所有が目的になっているケースが多いのではないでしょうか。
基本的に私有財産の本質は土地にあります。土地は担保となり、信用を産み、財を産むからです。ですから、地主は何もしなくてもお金が入ってくるのです。
ですから、投資やビジネスで稼いだお金も一般的に土地、不動産に向かうことが多いです。これはバランスシートを見ても一目瞭然です。
土地は「資産」として計上され、それを担保に借入で現金を「資産」として更に増やせます。このようなことができるのは、基本的には不動産だけです。
言い換えれば、資本主義において、所有する最も価値があるものは不動産だけ、ということになります。
トランプやあるいは成功している資産家のほとんどはこの方法を使っていると言っても過言ではないでしょう。
もっと簡単に言えば資産家がやっていることは
①信用創造②交換③私有財産
この3つの基本原則に忠実なだけだと思います。
そしてこれは努力というより、以下の3つの要素がより必要です。
①本質を理解すること
②知恵を使うこと
③不相応な感情に流されないこと
日本人は頑張ったら金持ちになれる、あるいは金持ちはみんな悪いことをしている、お金持ちは運がいいだけだ、とか思いがちですが、その辺は思い違いだと思います。
恋愛に例えると、相手のことを知らないのにいくら頑張ってもモテないのと同じです。相手、つまりお金の本質をよく知る必要があります。
悪いことをすれば、一時的に金持ちになることはありますが、上記の「関係性」が破壊されますので、暫くすると貧困に陥ります。アップダウンが激しい金持ちが多いのはこのためです。
お金持ちは運が良い人が多いのはありますが、例えば宝くじで1億円当たってもお金の使い方を間違えたら一瞬で無くなるので、運だけでは富を維持できません。
重要なのはお金の本質を理解し、適切に扱うこと、すなわち適切なフィナンシャルリテラシーとそれを扱う富の器を築くことだと思います。