ここしばらく起きている、韓国、香港、あるいは北朝鮮の問題は全て繋がっていると見ています。
ただ、これらが繋がっているというのは、いくつかの前提とトランプの頭の中(ロジック)がわからないと全くよくわからなくなります。
まず、前提としてアメリカと中国は経済戦争の中にあるということです。(個人的には覇権争いではないと思っています)
その経済戦争(戦争と言い換えても良いかもしれません)が表に現れているのが、韓国なり香港の問題です。
ここの重要なポイントは、一連の日本の韓国に対する対応は、基本的に後ろにアメリカがいます。
基本的にアメリカの承認なしで、日本が単独であのような行動を取ることはできません。
むしろ、アメリカが積極的なのか消極的なのかがわかりませんが、指示を出していると言っても良いでしょう。
その理由が韓国と中国があまりに近い、というのが一つあります。
ただ、このロジックはあくまで「政治家」のロジックになります。
つまり、韓国に何らかの制裁を加えるのは、中国から韓国を引き離す方角でなくてはいけないのです。
ですが、今回の半導体に関する規制は韓国経済に大きな打撃を与えます。
そうすると実際は韓国は、日本アメリカではなく、中国を経済的に頼ることになるので、実質的に韓国と中国の結びつきを深めてしまいます。
これは政治インテリジェンスからするとおかしなことです。
実はここが最大のキモで、トランプは大統領にも関わらず、「政治」ではなく「経済」のロジックで動く大統領なんだ、と見ると色々なことがスッキリします。
基本的にトランプのロジックは二つだけだと思います。
①自分が再選すること
②そのためにアメリカの景気をよくすること
完全に企業の経営者のロジックです。
これでみると、韓国への制裁は、韓国の製造業に打撃を与えて、アメリカのメーカーが潤う、つまりそこだけ(経済)しか見ていない、とするとスッキリ見えます。
香港はいってしまえば、米中の代理戦争の場のようなものです。
ここで北朝鮮に関して、トランプのロジック、あるいは金総書記のロジックを考えると、一つの大胆な予測もできます。
それは「北朝鮮とアメリカが歴史的な同盟を結ぶ」というシナリオです。
トランプのロジックに対して、北のロジックは更にシンプルです。
金王朝が何なら日本の皇統のように生き残れば良い、それだけです。
つまり、トランプ側のニーズは
・北朝鮮という歴史的に誰もがどうすることもできなかった問題を解決した
・アメリカの企業、経済が潤う
北側のニーズは
・金総書記以下一族の命の保護
この二つが一致するシナリオが実は北朝鮮のアメリカとの同盟、つまり極端にいえば北朝鮮が対アメリカに対して、今の日本や台湾のようになることです。
これが従属国ですと、金総書記は国内をまとめることが難しくなります。
あくまで、世界最強国のアメリカと対等に条件をまとめた英雄、このような見せ方である必要があるのです。
トランプのロジックをもう少し掘り下げますと、彼は不動産で財をなした人物です。不動産ビジネスで成功する大きな特徴は、バランスシートと損益計算書の両方を理解する必要がある、ということです。
つまり、彼は常にストックとフローで経済を考えます。更に不動産のもう一つの特徴は、減価償却と現在価値です。
つまり、トランプの意思決定はそろばんを弾くときに、フローとストックをNPVあるいはLTVで見ていることになります。(今のお金の価値と将来のお金の価値をちゃんと計算している)
その視点で考えますと、実は戦争で北朝鮮を吹っ飛ばす、というのはあまりないのではないかと思います(以前ブログでトランプの北朝鮮攻撃予測をしましたが、あの時はトランプのロジックが違うことを考慮していませんでした)
あまりこのような書き方をするのはよくないのですが、基本的に戦争で経済が儲かる、というのは世界大戦規模にならないとないと思っています。
データでも出るでしょうが、感覚的に世界大戦後の湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタンで米国経済が潤ったというのは限定的であると思います。
つまり、軍需産業だけが儲かっただけで、その後の駐留維持コストなどを加味すると、実際はコストの方が大きいのだと思います。
これはトランプのロジックで行くとやりたくない一手になります。
それよりも、北朝鮮にアメリカ企業を進出させ、そこに基地を作らせ、基地の負担を北朝鮮政府に押し付けたら、勘定としては黒字になると思います。
そして、北朝鮮に基地ができるのであれば、韓国に基地がある必要はありません。そこに駐留している米軍をそのまま北に移動させるだけで、費用はなくなります。
もちろんこのシナリオを絶対許容できない国がいます。中国、そしてロシアです。
この説明が長くなりますので、それはまた次回に