寿司職人の世界では「飯炊き3年握り8年」という言葉があるようだ。
ホリエモンがそんな期間要らないと言って、物議を醸したことも最近のことだ。
寿司職人でない一般の社会人も、社会人何年目、あるいは社長歴何年目という話をビジネスでしたり、あるいは茶道何年、花道何年という習い事でも、年数の話になることもある。
ここでテーマとなるのは、「一体何年やればいいんだろう?」ということだ。
仕事でいえば、例えば1年しか弁護士の経験がない人に頼むよりは、10年くらい弁護士の仕事をしている人に頼みたくなるのは自然かもしれない。
しかし、弁護士歴10年と20年でどっちが良いか、と言われても、素人にはわからないか、年齢以外の要素で決めるのが普通ではないだろうか。
正直言って、仕事のできる、できないは、社会人歴40年も50年も
そこまで大きく変わらないのではないだろうか。
一方で最初にあげた寿司や、職人の世界では、年数によってどんどん技術が洗練されているのかもしれない。しかし、最高の技術で握った寿司と、そこそこの技術で握った寿司の違いがわかる人は一体どれくらい、いるのだろうか。
ホリエモンが言いたかったことの本質も、そこではないだろうか。
結局美味しい魚があって、ある程度技術があれば、ほとんどの消費者は満足するから、ビジネスや他のことに時間を使ったほうが良いのではないかと。
もちろんそれは、その人の目指すところで決まりもするだろう。
「寿司業界」というプロの中で、最高の技術と称されたいのであれば、おそらく10年や20年では効かないのだろう。それは他の業界もそうであろう。
しかし、「お客さんが喜び、自立してお金を稼ぐこと」を目標にした時、それは職人の頂点を目指すレースには乗らないので、そのルールは適用されない。
これは他のビジネスでも言える。いや、ビジネスの方が努力ではどうにもならないことが多い分、年数だけでは測れない。
ちなみに、ホリエモンは起業してマザーズ上場まで4年で持って行ったが、そもそも起業する前のスキルが活きているとすれば、その年数でカウントする意味がどれだけあるかもわからない。
そして、40代、50代の時間軸で考えると例えば、40で起業しても、50では10年目になる。
趣味も同じで、例えば中学から空手をやって35で辞めても空手歴は約20年
35で始めて、55で辞めても同じ20年だ。そしてむしろ現役であることの方が重要だ。
20代-40代という結婚や子育てに最も適した時間をどう過ごすかはあるにせよ、
人生100年時代の時間軸で考えると、50代で何かを始めても、生涯で歴30年40年に至ることもできなくはない。
つまり、人生100年時代においては
・何を、どこを目指すのか
・その年その年でしかできないことは何か
・自分の人生の優先順位は何か
このようなことを自分で設計する必要がある。
1世代前までの、年齢と共に生き方が決まっていたわけでなく、仕事も実力主義で、何歳でも成果さえ出せば問題ない。それが下に出たのが小学生ユーチューバーとも言えるだろう。
何かを始めるときに、考えて欲しい。30代で始めても、50代では20年目だ。
寿司職人を目指したとしても、文句を言われない年季になれる。
だから、大事なのは、「どう生きるか」そういう時代なのである。
そして、どう生きるかを選べるのは、貧困や戦争といった要素がないからできるのである。だから、どう生きるかを選択できる今の日本はとても尊いのだと思う。