IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

コロナに関する陰謀論について

コロナに関する陰謀論については、結論から始めると懐疑的である。

 

○製薬利権による陰謀論

製薬が世界市場全体を占める割合と、コロナで不利益を被るその他の産業の割合を鑑みると、どう考えても「コロナで不利益を被る産業」の方が多い。

そのような中、製薬の利権(というかほぼワクチンだけ)数兆円程度でいまの状況を演出、コントロールすることは不可能に近い

 

○中国による陰謀論

そもそも中国政府自体が事態をコントロールできていない。

中国経済に与える打撃も深刻で、経済の失速が政権の失脚に繋がる現中国の体制下において、わざわざ経済を失速させる利点がない。(中国内の反体制派も同じで、これはちなみにアメリカも含めた他の国の政府も当てはまる。)

現在の中国の過激な軍事行動は、経済の失速を国民に対して誤魔化すためのパフォーマンスの側面が強く、アメリカ当局などはそれも把握している可能性が高い。

 

○金融・投資家による陰謀論

確かに富裕層の資産はコロナでも増えている。ただしこれは、富裕層が、景気が後退したときのポジションも持っているからにすぎない。

コロナで打撃を受けている、アパレル、ホテル、エアライン産業などの株は機関投資家を始め、投資家や富裕層も所有している銘柄あり、それは軒並み下落し、打撃を受けている。

従って、金融投資セクター(いつも何かあると疑われるが)は今回に関しては事態に翻弄されている側だと考えた方が、筋が通る。

 

○マスコミによる陰謀論

マスコミが煽る場合はスポンサーの意向を組んでの場合がある。

この場合スポンサーとは民間企業と政府の両方が考えられるが、まず民間企業はありえない。政府の場合、日本のような政治体制でない場合は考えられるが(後述)日本の場合も中国と同じく、経済を失速させる意味がまるでないため、マスコミを使って煽る理由がない

 

現状分析および結論その①

ではなぜ、現状のマスコミはコロナを「煽っている」ように見えるのか

これはスポンサーの問題ではなく、マスコミのシステムそのものによる事象だと思われる。

まず、マスコミにとって重要なのは「視聴率」である。それは記者であれば「記事が読まれること」に他ならない。

従って、読者が「コロナの記事」「特に怖い記事」を読む傾向があれば、そうした内容を多めに書くことになる。

そして確かに、国民はコロナの症状が如何に軽いかのニュースよりも、如何に怖いかのニュースを読みたがる(ホラー映画を観る感覚だったり、危機管理の観点から)

更に、普通の書き方をしても読まれないため、人の目を引く表現を使う。

「インフルエンザと変わらないかもしれないウイルス」よりも「恐ろしいかもしれない新型ウイルス」の方が人の目を引く

 

「大丈夫だよという人」よりも「これは危ないという人」の方がインタビュー記事としても読まれやすい。

(つまりマスコミのシステムそのものが、恐怖と不安を煽るようになっている)

そして、SNSではそうしたニュースを「善意ある有志」が結果として不安を広げているだけなことに気がつかない人々が、そうした記事を広げているのが、いま起きている現象ではないだろうか。

(なので、不安に陥りやすい人は、本当はマスコミのニュースの大半は不安を煽る内容になってしまうので、なるべくニュースを見ないで、正しい情報蒐集に努めた方が良い)

 

つまり、不安と恐怖を無意識も含めて求める読者がいて、マスコミはシステムとして不安を煽る記事を書き、そこでグルグルとループして不安の渦を形成し、その渦が「煽っているように見える」のではないだろうか。

 

現状分析および結論その②

中国や各産業の利権に関しての行動は、「コロナを人為的に仕掛けた」ではなく

「コロナという事象をどう利用するか」という方向で向いていると考えた方が良い。

今回のウイルスは富裕層も含めて無差別なものであり、世間で陰謀論を企むと思われがちな人々は、そもそも人里離れ事態の動静を見守っている状態であろう。(高齢者も多いので)

おそらく中国においては既にインフルエンザのような扱いになりつつあると思われる(致死率、ワクチンや抗体も完全には効かず、逆に全く感染しない人もいるなど)

一方で、独裁国家のような場合は、コロナを煽ることに一定のメリットはある。

政情を安定させるために、脅威を煽ってそれを鎮圧したことによる政権の功績アピール(ベトナムやタイ、北朝鮮のようなケース)をしたい場合。

もう一つは、国が全体管理主義を推し進めたい場合である。

この先、中国がそちらの方向性に大きく舵を切らないとも限らない。コロナを口実に、あらゆる国民の行動や病状を把握し、管理する、という方向性である。

今回、封じ込めに成功していると言われる、台湾はITを駆使し方向性としてはそれに近いことをしており、手放しでは賞賛できない側面がある。

この先日本が注意が必要なのは、この全体管理システムの利権と政府が推し進め、それをコロナという恐怖に煽られ、一部の人が的外れな善意でそれを無自覚に後押ししてしまう、ということである。

 

つまり、全体の結論としは、コロナを陰謀論として捉えるのではなく、煽られた不安の中で、コロナを都合の良い方向に利用する勢力に対して、冷静なリテラシーを持って臨む必要があるということである。