IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

やはり「使命」は最先端だと思う理由

大企業、スタートアップを問わず、マーケティングあるいは、ファイナンス(資金調達)の先端を言っている人たちの話を聞くと、「ストーリー」というものが非常に重視されている傾向があるように感じる

 

マーケティングの視点で言えば、一つ、インフルエンサーマーケティングを例に取ると、例えば女性のインフルエンサーが化粧品を自身のインスタグラムで紹介したとする。

 

このような時に、例えばそのインフルエンサーが今までオーガニックな化粧品を使っていたのを挙げていたのに、急にケミカルな化粧品を取り上げたら、ユーザーは「あぁこれはお金もらっているな」と気づく。

 

それは、これまで投稿していた写真も見れれば、もし美容のカリスマとしてインスタのフォロワー数が伸びていたら、それなりに美容に感度が高い人がいるため、簡単に勘付かれてしまうのである。

 

そしてこのような場合、インフルエンサーマーケティングは失敗する。

「本当に良いものを進めているわけではない」とユーザーがわかるから、購入にならない。宣伝としても、むしろネガティヴな印象を持つことが多い。

 

これはストーリーの視点で言えば、ストーリーがおかしいと言える。

 

本来は美容のカリスマで、オーガニックな化粧品を使っていた人が、急に違うものを勧めだしたら、そのストーリーはおかしい、何か裏があるな、と周りは感じてしまう。

 

つまりストーリーがおかしい、違和感があることの問題点は何かと言えば

 

信用が落ち、成果が上がらない、ということになる。

 

また、ネットでは履歴も残る(かつ消しにくい)し、すぐ調べられるという特徴があるため、ストーリーがおかしくなったことに気づきやすいし、理由も調べやすい。

 

同じようにファイナンス(資金調達)でもストーリーが重視される。

 

なぜなら、投資家あるいは銀行がお金を出すか否か、は色々条件を挙げても、最後は担当者の「腹落ち感」で決まるからである。特に投資の場合は。

 

それを腹落ちさせる条件が「売上」なのか「実績」なのか、なんなのか、という話に過ぎない。

 

そしてどのような情報も基本的には過去の情報であり、絶対はない。

これまでの情報で、未来はどうなっているか、それを手探りながら、リスクを計りながら意思決定をするのである。

 

未来の情報を知る、確度の高い指標は何か?それで最近注目されているのが、「ストーリー」と言える。

 

資金調達におけるストーリーとは、「なぜ」、「誰が」、「何をするのか」がしっくりくることである。

大雑把な例だが例えば

 

「金融業界に10年いた人が、会社を辞めて革新的なアイデアフィンテックビジネスを立ち上げる。」

 

これはかなり綺麗なストーリーと言えよう。その業界をよくわかっている人が、確かな確証を持って、儲かる事業を立ち上げようというわけだ。

 

反対にこういう例はうまく説明が求められる

 

「飲食業を10年やっていたが、最近話題のブロックチェーンビジネスに参入する」

 

飲食業とブロックチェーンを結ぶXが革新的なものであれば良いが、一般的にサービス業をずっとやっていた人間が、IT業種にそれほど知見があるわけがないのでは、と思われてしまう。

 

また、こういうものは、ある程度プレゼンテーションで誤魔化すこともできる。

つまり、アイデアもなく、実績もなく、ビジョンがなくても、あるように見せかけることはできる。

 

しかし、それも今はネットで調べることもできるし、あるいは目利きの投資家はストーリーを見ると、何かが破綻していることに気づくのだ。

 

だから、資金調達においても、ちゃんとしたストーリーを構築するのが重要なのだ。

 

未来を最も担保するのは、ストーリーなのだ。

 

信用のある人が確度の高いストーリーを描くことは、どのような実績よりも参考になる。

 

例えば売上10億円の会社の社長でも、新規事業を適当にやれば失敗する可能性は高い。

 

「なぜ、それをやるのか」、それがうまく説明できないようなら、やるやらない、成功するかしないかは別として、投資家はお金を出しづらい。

 

つまり、マーケティングにおいてもファイナンス(資金調達)においても、ストーリーが未来に対して最も確度の高い信用を実は提供しているのではないか、ということだ。

 

そしてストーリーというものを更に落とし込むと「使命」の概念に行き着く。

 

「使命」においては、誰もが自分の性格、役割、才能から自分にしかできないことをする概念であり、これ以上説得力のあるストーリーはない。

 

更に付け加えると、どんなにそのプレイヤーが優秀で、能力を使いこなすような仕事をしていても、自己中心的な目的で生きていたら、周りは「旨味に預かろう」とは思っても「応援しよう」などとは思わないだろう。

 

現状、特に資金調達においては、それでも儲かればいいや、のストーリーでしかなくても資金調達は可能は可能だが

 

使命は「世の中を永続的に良い方向にすること」に限定される。世の中を永続的に良い方向にするとは例えば以下のようなビジネスモデルになる

・誰もが健康的で美味しいと思えるような食事を提供する

・持続可能かつ使用目的を満たすようなプロダクトをデザインする

 

簡単に言ってしまえば、多くの人が幸福になれるようなものを事業として取り組むわけだから、応援されないわけがないのである。

 

つまり、「使命」は今流行りの「ストーリー」の中にあり、かつそれを上回る概念とも言えるので、最先端なのではないかと感じる次第である。