前回、トランプと北のロジックでいくと、「歴史的な同盟」シナリオがありえるかもしれないが、それに絶対的な異を唱えるのが中国とロシアです。
まず、中国としては鼻先に敵の基地ができるので、全く許容できるわけはありません(とはいえすでに韓国にあるので似たようなものといえば似たようなものですが)
ここで、中国のロジックを整理してみましょう
基本的に中国はアメリカや北ほど綺麗なロジックはないです。
つまり、習近平は中国を一つにはまとめきれていないとみています。
まずよく言われる中国覇権国家説ですが、現状では無理です。
そもそも覇権国になるにはいくつかの条件があります。
①海洋覇権(マハンが言うように世界の海を支配すること)
②基軸通貨を持つこと
この二つが大きな覇権国の条件です。
まず、海洋覇権はアメリカ(あるいは英米)と中国とでは、技術的にも世界に展開している基地、艦隊の数でも圧倒的な差があります。
アメリカは全世界に基地があり、そこが港にもなります。かたや中国は、海洋という視点でいえば、完全に太平洋側は日本とアメリカに抑えられていて、かろうじて、インド洋に出ているに過ぎません。
基軸通貨という点はどうでしょうか。こちらはそもそも中国経済は、「基軸通貨でないことで経済的なメリット享受している国」です。
基本的に基軸通貨になると買われますから、当然、通貨は切り上がります。
中国は元安の輸出で国を潤す政策をとってきたので、元高になれば国が破綻します。いわゆる中国が引き金で、世界恐慌というのは元高からも起こり得ます。
それを自ら今のタイミングで中国がやるか、ということです。
基本的に中国が覇権国家となりたいのは「メンツ」の問題だけです。
覇権国となれば、アメリカのように世界に軍隊を送る必要もありますが、そのコストは膨大です。
加えて、中国はアメリカと違って、チベット、ウイグルという国内に独立しそうな国家を二つも抱えているようなもので、世界の平和を守るとか言っている場合の国ではありません。
基本的に今の中国にとって覇権国となる実益は何一つないのです。それでもそれが議論のテーブルに上がってしまうのは、一部のアナリストがポジショントークを含めて言っているのと、単なるメンツの問題だけです。
そもそも、中国は10億人以上の人口と全世界に華僑がいますから、そもそも今の中国のトップはそこから富を吸い上げるだけで充分潤います。
従って、国内のマーケットだけで充分にまわるし、むしろ内需をしっかりさせて、元高に備えよう、と考える方が現実的です。
その辺の現実派とメンツ派(中国でいえば、三代派閥の官僚系、軍人系、旧革命幹部の子孫たち)のせめぎあいがあり、だから中国のロジックは一本に見えないと思うのです。
ですから、仮にアメリカが北朝鮮と歴史的な同盟を交わしても、ロシアがクリミアを占拠したときのように、実際には中国は反応できないのではないかと思います。(あるいは変な暴発が起きる可能性)
一方、ロシアの方は北朝鮮がアメリカの属国になると、完全に領土を接することになります。
基本的に日本にいるとロシアのことがよくわからないので、今のロシアのロジックがどうなっているかはわかりませんが、政治のロジックからすると絶対的に許しがたいと思われます。
とはいえ、プーチン自身もクリミア占領という戦後レジームではありえない禁忌をおかしましたし、ロシアがどのような反応をするかは予測しづらいところです。
しかしながら、このような方向に向かうと、北方四島返還などは、アメリカの外交とのセットの話になり、その属国である日本に譲歩するいわれはない、ということになり、四島返還に影響することは充分考えられます。
一連全て、これも個人的な予測に過ぎませんが、一連の韓国問題にしろなんにしろ、世論は政府を叩いていますが、政府側は、飛んだアメリカのとばっちりを受け、立場的には何もいえずできず、やはり憲法改正して一刻も早く真の独立国家にしたい、と歯ぎしりしている安倍総理の顔がなんとなく浮かびます。