IT人の政治リテラシー向上を目指して

元政治家秘書、現IT起業家が主にIT起業家、エンジニア、デザイナーなどIT業界人の政治リテラシー向上を目指して、日々のニュースや政治トピックについて言及。たまに起業ネタや映画、アニメネタなども。ちょっぴり認識力が上がるブログ。

映画Son of God と新約聖書をあれこれ語る回

先日映画Son of Godに行ってきた。キリスト教徒しか行かないであろう当映画だが、非クリスチャンの私でも充分楽しめた。

 

この映画は聖書に忠実ということでも話題だが、そもそも聖書とはなんですか?ということで、ややマニアックな聖書の話しを

 

ちなみに、世界史の問題でキリスト教の開祖は誰ですか?という質問が出た場合、普通はイエス・キリストと答えそうだが、実際はパウロが正解である。

 

新約聖書の構成は福音、使徒言行録、手紙、黙示録の四つで構成されているが、量的には福音と手紙で殆どを占める。そして、この手紙、例えばコリント人への手紙、ローマ人への手紙など、この手紙シリーズの作者も大体パウロである。内容は教えの他、お願いとか、脅迫に近いようなものもあるが、旧約聖書モーセがしたことに比べると大分穏やかな内容だ。

 

そしてパウロは12使徒ではなく、実際はイエスに会ったことがない。ここもあまり皆が知らないポイントだ。まめ知識として自慢できるぞ。

 

そして、イエスのいわゆる12使徒のうち、最後まで生き残るのはヨハネだけである。ヨハネは福音、手紙、黙示録の作者で(実際は違うとの諸説あるが)重要な使徒の1人で、映画でも物語の語り手として描かれている。他の使徒はユダを除き、全員が殉教する。

 

そして聖書のうち、重要な部分と思われる福音の話しをするが、福音はイエスの教えを述べたものであり、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4つがある。一度聖書を読んだことがある人ならわかると思うが、実際この4つはほとんど内容が被っている。と言うのも元々、全ての福音がマルコをベースに作られており、残りの3つはマルコをベースにそれぞれ特徴がある。

 

まず、マタイの福音は最も内容が多く、細かい。そしてユダの自殺に言及しているのもマタイだけである。映画はユダの自殺が含まれているので、実際は本映画はマタイの福音をベースに、ヨハネを重要な視点人物に加え描いていると言える。

 

そして、ルカはイエスの救済観が主題に、そしてヨハネはかの有名な言葉、“初めに言葉ありき”という概念、つまりロゴスについて触れたものであり、ギリシャ哲学とも繋がりを持つ内容となっている。

 

ちなみにロゴスとは言葉を始めとする、表現されたもの、メディアのようなものと、考えてくれれば良いだろう。ちなみにプラトンの書籍にはこの概念が多用される。

 

私もよく分かっていない使徒言行録は飛ばすとして、聖書を知らない人間でも少しかすっているのが、大体巻末のヨハネの黙示録だろう。666とか世界の終わりとか、皆が大好きそうな、とてつもなく物騒で危ない話しは大体ここに収まっている。

 

ちなみに666とは古代ユダヤの数秘術ゲマトリアつまり、数字で名前を表す考え方において、サタンであり、当時の時代背景ではネロを意味すると言われる。何故ネロかと言えば、当時キリスト教徒を徹底的に弾圧したローマ皇帝で、キリスト教徒からすればサタンそのものであったからだろう。

 

よく、聖書とギリシャ神話を読むと、欧米人の思考体系がわかる、と言われるが、それは間違いなくイエスだろう。殆どのカトリックプロテスタントは必ず読んでいるものだから。

 

具体的にどこが?となると思うので一つ例を挙げると、キリスト教性悪説を取っている。だから、罪がある人間のために、法律であり裁判所であり、刑務所であり、警察である、というものが自然に産まれる。その罪をイエス・キリストが人々に代わって受けることによって、人々は救済される、それがキリスト教の本質である。

 

ちなみに性悪説の根拠は旧約聖書の「創世記」いわゆるアダムとイブの話しになるので、旧約聖書聖典とするユダヤ教性悪説を取っていることになる。

 

だが、日本人は宗教がないため、おおむね、価値観は自然法をベースにしていて、性善説性悪説は個々の価値観によるものが多いため、この辺の欧米人の統一的な思考観は時々馴染まないことがある。各々が“武士道”という高いモラルを持っていればそんなものは要らないだろう、と考えることができるからだ。

 

後半は、東洋哲学を専行する一欧米人が書いた比較研究のような内容になってしまったが、最後に聖書からの引用を幾つか。

 

“There is no fear in love”   

”God is love”

”We love because God first love us”

 

聖書には“愛”という言葉が多用されている。キリスト教は愛の宗教でもある。だから、欧米人の映画やドラマにはloveという言葉が多い・・・のかもしれない。